日産の車両生産回復は本物か。九州工場で2直に
日産車体、米国向け需要回復などに対応
日産車体の生産が復調している。新型コロナウイルス感染症の影響で生産調整していた主力の日産車体九州(福岡県苅田町)で、8月から昼と夜に勤務する2直での通常稼働に切り替えた。米国向け輸出車両を中心に落ち込んでいた需要の回復傾向に対応する。ただこれまでの減産の影響が大きく、2021年3月期の生産台数は前期の18万2000台を下回る見通しだ。
日産車体九州はフレーム構造のスポーツ多目的車(SUV)やミニバンなどを生産。大型SUVでは、日産自動車の「アルマーダ」や高級車ブランド「インフィニティ」の「QX80」を米国に、「パトロール」を中東などに輸出している。4―7月は米国需要の落ち込みなどを受け、生産調整を継続。7月まで非稼働日や夜勤をしない日を設けていたが、8月以降は非稼働日を設けずに、2直での通常稼働を続ける。
一方、バン型の小型商用車やワゴン型タクシーなどを手がける湘南工場(神奈川県平塚市)、小型バス・トラックなどを手がけるオートワークス京都(京都府宇治市)の生産は堅調に推移する。経済活動に欠かせない商用車の引き合いは強く、供給を止めないため休日に出勤するなどして生産を続けている。
日産車体の20年4―6月期の車両売上台数は、前年同期比51・5%減の1万7774台。内訳はSUVなど乗用車が同77・9%減の3598台、商用車が同20・2%減の1万2578台だった。
同社幹部は米国需要の先行き不透明感やこれまでの減産影響などから「挽回生産したとしても、21年3月期の生産台数は前期と比べ2ケタ近く落ち込む可能性もある」としている。
日刊工業新聞2020年9月18日