瀬戸内で産業ロボットの裾野を広げたい!トリツ機工が「現在と未来」を繋げる
トリツ機工(岡山市南区)は、ロボット展示場「瀬戸内ロボットサポートセンタ」を活用し、産業用ロボット利用者の裾野を広げる取り組みを行っている。安全講習や技術セミナー、インターンシップの受け入れなど地方の事情に応じた活動を行い、将来の導入につなげていく考えだ。
トリツ機工は岡山市南区の本社と岡山県北部の津山市に営業所を構える。同県を中心に造船や自動車、農業機械、建設機械など多様な顧客に工作機械や切削工具、ベアリングなどの産業資材を販売する。社員数は48人、2020年8月期の売上高は32億円を見込む。
17年に本社と道を挟んで向かい側の建物に瀬戸内ロボットサポートセンタを開設した。「複数メーカーの産業用ロボットを展示し、比較できる施設にした」(小谷昭彦常務)という。安川電機やファナック、川崎重工業、三菱電機、不二越、デンソーウェーブ(愛知県阿久比町)、オークラ輸送機(兵庫県加古川市)の7社、計10製品を常設展示する。
中四国地方で初
こうした多数のメーカーの産業用ロボットを一堂に展示する施設は「中四国地方では初」(同)。開設当初から問い合わせが多く、岡山県のほか、四国や中国地方、関西からも見学に訪れる。新型コロナウイルス感染拡大前の19年8月期は合計48社、130人が同施設を利用した。
新型コロナが収束していないが、技術情報の発信は継続する。8月にはリンクウィズ(浜松市東区)とオンラインセミナーを共同開催。同社は産業用ロボットを制御するソフトウエアの開発を手がけ、画像データから3次元形状を認識する技術に強みを持つ。15年設立のベンチャー企業ながらパナソニックとも溶接事業で連携する。
リンクウィズが地方の機械商社と共同でセミナーを開催したのは初めて。今回はオンライン開催にもかかわらず約50人が参加。3次元スキャナーで対象物の形状を認識し、形状に合わせて溶接するといった最新の技術を紹介した。
瀬戸内ロボットサポートセンタは地域の人材育成の拠点としても積極的に活用されてきた。産業用ロボットを安全に操作するための「安全教育講座」を開催。顧客や顧客以外の企業も受け入れ、「産業用ロボットを安全に操作できる人材の育成に努めている」(同)と自信を示す。
体制を構築
トリツ機工の社員2人が安全教育の講師資格を取得し、1回の講座の受講生を最大6人に限定して開く。東京などで受講するのに比べ交通費や移動時間が節約できると好評だ。また、インターンシップとして受け入れた専門学校の生徒も同講座を受講できる。
産業用ロボットの導入は製造現場ごとに一品一様の対応が求められる。瀬戸内ロボットサポートセンタは9月に1人増員し、4人体制とした。今後は会社全体で情報共有できる体制を構築し、多くの企業の省力化支援をサポートしていく方針だ。(岡山支局長・大櫛茂成)
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