東海道新幹線「N700S」投入から2ヶ月、快適な乗り心地のヒミツは?

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東海道新幹線の新型車両で改良した静電アンテナ(左)と従来型アンテナ(右)

JR東海が東海道新幹線に新型車両「N700S」を投入して2カ月たった。同新幹線は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて利用客数が大幅に落ち込んでいるが、新型車両投入や「のぞみ」の1時間12本ダイヤによる利便性向上などで徐々に回復しつつある。運転士も「さまざまな技術を集結させた最新鋭の車両だ」と胸を張る新型車両で、「100系」以来、久しぶりに改良したのが先頭車両の屋根にある静電アンテナだ。電圧検知などの機能を備えるアンテナの形状を改良、アンテナ単体では低騒音化を実現した。(名古屋・市川哲寛)

100系以来

静電アンテナは、架線の電圧を検知する機能と無線アンテナの機能を兼ね備える。運転士が電圧を確認して車両の指導作業を始めるほか、車両所で回送列車の入構位置について車両所の担当者とやりとりする際の無線に用いる。

100系以来、後部に伸びた検知棒が特徴のアンテナを採用してきた。300系や700系など新型車両開発時に低騒音化に向けてアンテナの形状変更なども検討されたとみられるが、音により大きく影響する先頭車両の形状やパンタグラフのカバー、車両連結部分のホロの改良が優先され、アンテナは同じままだった。

今回、電気工学と空気力学の専門家が共同で開発に取り組み、シミュレーションの効率化などもあり、形状変更したアンテナの投入にこぎ着けた。

開発当初、騒音を低減するには「お盆を伏せた形状が理想」(松村善洋総合技術本部技術開発部信号通信技術チーム鉄道通信グループリーダー)とし、平板形状を検討した。ただ平板だと雪や雨で水に覆われると電圧センサーが電圧を検知できずにアンテナとして機能しないことが分かった。このため開発の過程では「電圧検知と無線アンテナの機能を分けることも検討した」(同)と苦労した。

その後、基板の内部構造の改良などにより高さを25ミリメートル低くし、検知棒も短縮化して小型化を実現した。

15デシベル低下

アンテナ単体の風洞実験では従来に比べて15デシベル低騒音化した。ただ新幹線の騒音は一番高い音で測定するため測定値への影響はほぼない模様だが、車両全体の騒音低下に貢献しているとみられる。

運転士からは騒音の違いは分かりにくい。それでも新型車両を運転した東京第二運輸所の渡辺絵未指導運転士は「静かな車内になっていると思う」と音の環境は改善されている模様。さらに横揺れを抑えるフルアクティブ制振制御装置の搭載で「横揺れが少ない車両だ」と評価する。

技術的な進歩を遂げた新型車両で快適な乗り心地を提供する。

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JR東海 N700S

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