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チョウザメ×メロン×コオロギ...太陽HDが「三位一体」植物工場で生産効率アップ!

チョウザメ×メロン×コオロギ...太陽HDが「三位一体」植物工場で生産効率アップ!

画像はイメージ

太陽ホールディングス(HD)は子会社の太陽グリーンエナジー(埼玉県嵐山町)で、果実・野菜栽培と高級魚の養殖、食用昆虫の飼育を一体化した植物工場の運営に乗り出す。養殖用水槽と水耕栽培のかん水を循環すると同時に、果実の残さを食用コオロギの餌に、そのコオロギを養殖の飼料にし、工場内に小さな生態系を構築。2021年早々にも試験生産をはじめ、2年目には採算ベースに乗せる計画だ。

農作物の水耕栽培と水産養殖を一体で行う農法「アクアポニックス」を採用する。すでにアクアポニックスを事業化している企業の協力を仰ぎ、チョウザメやテラピア、ウナギなどの養殖を準備中。まずは、太陽グリーンエナジーが稼働している既存の植物工場で水耕栽培するアールメロンと組み合わせ、順次リーフレタスなど葉物野菜も加える。

食用コオロギは食糧事業の一環として17年に着手。飼育しやすさや味・栄養価に優れる食材として年間約1トン出荷しているが、養殖魚の餌が近年減少しているという問題に着目し、「成分が近いコオロギを飼料にできないか」(荒神文彦社長)と検討を開始した。同時に出荷できないメロンの果実や葉・茎などの残さを、コオロギの餌として利用し廃棄物を最小限に抑える。コオロギの販路を飼料に広げる狙いもあり、アクアポニックスで協力を仰ぐ企業にも養殖魚の餌として提供する。

太陽グリーンエナジーの食糧事業は年商5000万円程度だが、この新事業などが軌道に乗る10年後には10倍の5億円程度まで伸ばす計画。新事業の仕組みをノウハウとして外販することや、スマート農業のノウハウ供与なども海外輸出を含めて検討している。

アクアポニックスは排水を外に出さない環境に優しい循環農法。肥料や農薬が不要で生産効率も高い。食用昆虫を加えた三位一体とすることで相乗効果を高め、さらなる生産性の向上が期待できるとしている。

日刊工業新聞2020年8月27日

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