解体工事の無料一括見積もりサービスが目指す「空き家問題」
空き家問題を解決したい―。クラッソーネ(名古屋市中村区)は、解体工事の無料一括見積もりサービス「くらそうね」を運営している。同社は他社とのアライアンスに積極的で、2019年から鎌倉新書やリビン・テクノロジーズなど9社と業務提携を締結した。川口社長に業務提携の目的や、今後の展望について聞いた。(名古屋・浜田ひかる)
―なぜ業務提携を急ぐのですか。
「ワンストップで解体を含めた家に関わるサービスを早々に確立させるためだ。空き家問題は喫緊の課題。解体だけでなく法律や税金、土地の売却など、さまざまなフェーズを踏む必要がある。将来的には一括して提供できるようなサービスを展開し、空き家問題を解決に導きたい」
―アライアンスの方針を教えて下さい。
「二つある。ひとつは『くらそうね』の認知度向上だ。例えばLIFULLの不動産・住宅情報サイト『ライフルホームズ』で、くらそうねを紹介してもらうことで顧客が知るきっかけを増やしている。コープサービス(山口市)やコープライフとくしま(徳島県北島町)など生協との連携も同様だ。二つめは付加価値の向上。鎌倉新書が手がける終活サービスは相続問題の延長線上にある空き家解体との相性がいい」
―地域生協との業務提携する狙いは。
「地方は今、空き家に悩まされている。組合員からの相談も多いようだ。この問題もあって生協3社との業務提携が決まった。生協を通じ解体を考える家主にくらそうねを紹介することで、地方の利用拡大が期待できる」
―住宅解体の市場をどう見ていますか。
「解体市場は伸長している。自社調べで成長率は年率7%。バブル期に建設された一戸建て住宅の解体時期が重なっているためだ。参入障壁も高く、競合となるような家主と解体業者双方のマッチングサービスは出てこないと見ている」
―今後の方針は。
「くらそうねの付加価値向上を目的とした提携を強化する。これに加え、利用者にとって空き家や相続などの課題をシームレスに解決できるプラットホームとしての確立を目指していく」
チェックポイント/潜在的需要、成長のカギ
川口社長は「解体が必要な物件を持つ施主が、(専門業者を探す時に)『解体』で検索することは少ない」と指摘する。そのため、ライフルホームズのような住宅関連サイトの運営会社などとの連携が必須とみる。今後はいかに潜在的な解体需要を得られるかが成長のポイントになる。住宅の解体工事という主軸は守りつつ、利用者にとって利便性のあるワンストップサービスを提供するため、今後も積極的にアライアンスに取り組む方針だ。