IT化への挑戦が功奏! 町工場がテレワークに迅速対応できたワケ

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業務の進捗管理など社内情報を一元化し、見える化を進めている

IT化、コロナ禍で奏功

上代工業(川崎市高津区、上代健一社長、044・811・8181)は、4月の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の際に全社員を対象としたテレワークを実施した。生産管理を中心に現場作業者も自宅待機を取り入れ、出勤者を半分にとどめた。その背景には進めてきたIT化や町工場として今後を見据えた挑戦があった。(川崎・大串菜月)

上代工業はエレベーター部品の製造が主力で、最先端のレーザー設備やベンダー加工機などをそろえる。上代社長は「薄物から厚物まで幅広い加工に対応できる。製造業が集積し、都心にも近い川崎という地の利点を生かしたスピード感を持ったサービスが特徴」と、自社の強みをアピールする。

即日即納など顧客の要望に対応するには、最終工程に合わせた生産管理が重要だ。期日に間に合わせるには、遅い時間帯の勤務が必要な日も生じる。それに伴い、出勤時間を通常より遅くするといった柔軟な働き方も検討してきた。

上代社長が力を入れてきたのは社内情報の見える化を目指したIT化の促進だ。全社員に情報端末を配布し、業務進捗(しんちょく)管理や日報を電子化。さまざまなITツールを駆使し、物の流れや設備状況、過去の図面データなどシステム上で社内のあらゆる情報の管理・分析できる体制づくりを進めている。積極的なIT投資により、社員の意識改革や残業の抑制、生産性向上などの結果につなげてきた。

こうした挑戦が緊急事態宣言時のテレワークに功を奏した。上代社長は遠方でも業務ができるテレワークに以前から関心を示していた。自社である程度のシステム基盤が整っていたことから、緊急事態宣言の発令に伴い、計画からわずか1週間で基本方針を作成。全社員を対象とし、緊急時に在宅勤務の制限を設けず出社の義務もなくした。テレワークが難しい現場作業者も自宅待機を実施。2交代制にするなどで、出勤者を半分に減らした。

コロナ対策を実施した上で業務を行う本社オフィス。テレワークの要望があればすぐ実行できる

マイクやカメラといったハード面の補充はもちろん、複数のソフトウエアも調べた。リモート接続ソリューション「チームビューワー」の導入により、社外から社内のコンピューターの遠隔操作ができる環境を整えた。

また、ウェブ会議システム「ウェアバイ」は、業務時間中に大画面のモニターに全員をつないだ状態にした。上代社長は「カメラやマイクのオンオフは自由だが、話しかければ互いに反応できる。事務所にいる時と同じ環境を作り出すようにした」と、工夫した点を説明する。緊急事態宣言の解除後はテレワークを実施していないが、要望があった際は基本方針に基づき、いつでも稼働できる。

近年は社員から働き方改革の要望も出てきている。そうした意見に耳を傾けながら、社員が自分で選択できる勤務体制を構築することで、短納期や休日対応など顧客の細かな要望に応える組織づくりができる。多様な働き方を認めることが、会社の未来を広げる糸口となるとみている。

日刊工業新聞2020年8月12日

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