「Zoom」需要は止まらない。日本法人が人員3倍に、営業・サポート大幅拡充
米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZVC)の日本法人であるZVCジャパン(東京都千代田区)は、2021年末に従業員数を、20年7月下旬時点比約3・6倍の160人に増員する。新型コロナウイルス感染症の影響でウェブ会議システム「ズーム」の需要が伸びる見通しを勘案し、営業や顧客サポートなどの人員を増強する。ZVCジャパンの売上高は22年1月期に100億円以上を見込む。
従業員の増強は、新規顧客の開拓を担う営業の強化だけでなく、ズームの導入企業を支援する「カスタマーサクセス」の要員も増やす方針。ズーム導入による出張の削減目標などを導入企業から聞き取り、その達成に必要な機能の使い方の社員教育をサポートするなどして利用を促す。こうした活動で顧客満足度の向上を図る。
ZVCジャパンは19年7月に設立。売上高の詳細は公表していないものの、拡大傾向が続くとしている。
調査会社のシード・プランニング(東京都文京区)は、19年の国内ビデオ会議・ウェブ会議市場が306億円と推計する。ただ、新型コロナ対策でテレワークの普及が進むなどして、20年以降は市場全体が大きく伸びると見られる。
ズーム以外のウェブ会議では、ブイキューブの「ブイキューブ・ミーティング」、米シスコシステムズの「シスコ・ウェブエックス・ミーティングス」などがある。
ズームをめぐっては主に3月ごろ、ウェブ会議に招待されていない人が乱入して場を荒らす事態が起きたり、ズーム利用者の端末の情報が米フェイスブックに送信されてしまうことが判明したりするなど、セキュリティーやプライバシーの問題が指摘されていた。
米ZVCはこれらの課題に対処する観点で、4月1日以降の90日間、安全性やセキュリティー、個人情報保護に関連しない新機能開発を凍結し、開発資源を製品の信頼性向上に集中させるといった施策を講じた。