ニュースイッチ

オフィスで働くアーム型ロボット、りそなHDが活用するRPA

オフィスで働くアーム型ロボット、りそなHDが活用するRPA

RPAを勘定系と連携させて帳票印刷を自動化した

オフィスの一角でアーム型ロボットがパソコンやプリンターと並んで作業を繰り返す。ロボットは先端の吸盤で帳票を吸い上げ、プリンターに挿入する。りそなホールディングス(HD)で1年前から日常になった光景だ。RPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)の活用範囲を勘定系システムに広げるために導入した。

りそなHDは2017年にRPAを導入。パソコン単体の作業に始まり、第2段階では人工知能(AI)を用いた光学式文字読み取り装置(OCR)と連携。顧客関連の大量の紙文書のデジタル化に成功した。業務プロセスにおける従業員と、ソフトロボの作業分担も見直し効率化した。

続く第3段階としてRPAを勘定系システムの端末に連携させようとしたが、課題に直面する。システムを搭載する数千台のパソコンに、RPAをインストールできないことが分かった。パソコンは21年度までに更新する計画で、更新後ならインストール可能だが、早く勘定系でもRPAを使いたい。

そこで勘定系端末にRPAの作業指示データを送信することにした。実質的に導入する作戦だ。これでロボットが作動できるようになり、19年5月に稼働を始めた。

まず本社地区の外国為替業務オフィスで、海外金融機関からの入金時の手数料徴収の帳票印刷に採用した。ロボットの動作のティーチングや、帳票とプリンターとの位置関係を工夫し、一連の作業を自動化した。

現在は東京都、大阪府、埼玉県、島根県のオフィスでロボットが活躍する。デジタル化推進部AI・RPA推進チームの荒木敏郎グループリーダーは「勘定系更新までの中継ぎと考えたが、このままで十分かもしれない」と手応えを見せる。

RPAによる業務削減量は年間22万時間に達しており、22年3月までに同100万時間を目指す。ロボットとの連携が目標達成のための有効手段として機能している。(戸村智幸)

日刊工業新聞2020年7月29日

編集部のおすすめ