1億年生きる微生物! 海底の堆積物から発見
海洋研究開発機構や産業技術総合研究所などの研究グループは、栄養が乏しい海底堆積物の中で、1億年以上生き延びている微生物の存在を明らかにした。栄養が少なく透明度が高い海域である「南太平洋環流域」の海底下から採取した430万年前―1億150万年前の地層試料を採取。試料の中で最大99%以上の微生物が培養可能な状態で生き残っていたことが分かった。今後、長期生存を可能にした微生物の能力や進化を調べる。
研究グループは、南太平洋環流域で水深3740―5695メートルの堆積物を採取。堆積物の試料に微生物の餌となるグルコースや酢酸などを添加した。培養開始21日目に細胞が餌を取り込み、68日目には多いもので1万倍以上に増殖した。
さらに堆積物中に生きている微生物の割合を算出。1億150万年前に形成した地層で99・1%の微生物が現在も生きていることが分かった。堆積後1億年以上、栄養が乏しい環境に閉じ込められた微生物が地層中で生き延びていたことを明らかにした。
また少量の酸素を含む環境で培養した際に微生物がよみがえったが、酸素を含まない培養環境では微生物が増殖しないことが分かった。
酸素が地層の中まで浸透している外洋の堆積物環境では酸素を好む微生物だけが生き残ったことを示した。
米ロードアイランド大学や高知大学、マリン・ワーク・ジャパン(神奈川県横須賀市)との共同研究。
日刊工業新聞2020年7月29日