「軽量で高強度」「高放熱性」。金属基複合材をオンリーワン技術で開発の中小企業
主な複合材
●ACMACMはグラファイトとアルミニウムの複合材料で、アルミの特性を持ちつつアルミより放熱性が高く低熱膨張で、カーボン以上に高い強度を備えている。熱拡散性は銅やアルミの2倍以上で、コーティングも可能でワイヤー放電加工もできる。熱問題のソリューションとして有望で、現在、次世代自動車や高速鉄道、半導体製造用のリフロー用位置決め治具にも用いられている。
●AC-AlbolonAC-Albolonはホウ酸アルミニウムとアルミの複合材料で、アルミ並みに軽量でありながら、鋳鉄と同等の高いヤング率を持つ画期的な素材である。熱膨張率はアルミとセラミックスの中間で、減衰特性にも優れる。ワイヤー放電加工も可能で、高強度・軽量な材料として多様な用途に応用が可能である。
現在、新幹線やエアコンのスクロール部材、ワイヤーボンディングマシン用XYテーブル、ディスクブレーキ、リフロー治具、産業用ロボットなどにも採用・開発が進んでいる。
今後の展開
高強度で軽量の金属素材のニーズは、今後、ますます高まっていく。同社は高機能アルミや、多様な特性を持つ複合材料の開発を進めるとともに、複合化技術をさらに進化させることで、今までにない新しい特性を持つ材料の開発までを視野に入れている。加えて、表面加工や評価にも注力し、内製・外注できる範囲を拡充していく。また、量産性もより向上させ、今後グローバルに供給していく予定である。
「地球のインフラを素材から支える」が同社の理念であるが、新しい高機能素材を生み出すことにより、環境面だけではなく日本の産業の活性化にも貢献することを目指す。さらに複合材料のJIS化も提案し、新しい素材を普及させるインキュベーターとしての役割を果たしていきたいという。
(工業材料2020年8月号より抜粋)
MEMO
アドバンスコンポジット株式会社
〒417-0801 静岡県富士市大渕2259-9
TEL 0545-32-7904
https://advance-composite.co.jp/
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<雑誌紹介>
雑誌名:工業材料 2020年8月号
判型:B5判
税込み価格:1,540円
<内容紹介>
工業材料 2020年8月号 Vol.68No.8
【特集】構造用セルロースナノファイバーの動向と自動車への応用
木材などのバイオマス資源から生成するセルロースナノファイバー(CNF)は、軽量ながら鋼鉄の5倍以上の強度をもち、熱による伸び縮みが小さいなどの特徴を有するとともに、環境にやさしく、持続可能な社会の実現に寄与するものとして期待を集めてきた。これまでにさまざまな分野での活用が模索され、現在も材料開発が精力的に進められている。
その成果の1つに環境省プロジェクトで作製されたナノセルロースヴィークル(NCV)がある。昨年開催された「第46回 東京モーターショー2019」ではブースが設けられ、多方面から注目を集めた。NCVには、さまざまなCNF材料が活用され、軽量化やCO2排出量削減といった効果について評価が行われた。
そこで、本特集では、Part1構造用材料としてのCNFの現状と将来、Part2 NCVにおけるCNF材料の活用と評価、の2つの柱を立て、CNFの現在と将来の可能性を探っていく。