隈研吾さんと長年のコラボが結実、国立競技場の緑化基盤に採用された繊維メーカーの挑戦

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国立競技場に採用された小松マテーレの緑化基盤を説明する建築家の隈研吾さん

小松マテーレは20日、東京大学で同大学建築学部の隈研吾研究室と共同で「未来につながる快適・安全な都市環境のアイディア」をテーマとした展示会・シンポジウムを開いた(写真)。両者は2013年に研究拠点「サスティナブル・プロトタイピング・ラボ」を開設して以来、展示会を開いている。6回目の今回は隈氏の東大教授退官に伴い、集大成として小松マテーレが開発してきた新素材の活用事例を紹介した。

隈氏は自身が設計を手がけた国立競技場(東京都新宿区)に小松マテーレの素材を採用したことを明らかにした上で「企業と大学のコラボレーションで環境の時代にあった成果を上げることができた」と達成感を語った。

隈氏は退官後、特別教授などとして東大に残り、小松マテーレとの協業も「何らかの形で継続していきたい」とした。


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日刊工業新聞2020年2月21日

小松マテーレ会長兼社長・中山賢一氏インタビュー

―2020年の見通しは。
「20年3月期は見込み通り着地できる。ただ、世界的な暖冬の影響が今後も出てくる。事業計画は常識的な季節の変化を見越して組み立てている。通常の冬ならスキーウエアが売れ、バスツアーが盛況になればシート用資材が動く。前提条件が変わればサプライチェーン全体へ波及する。新型コロナウイルスについても、調達への影響を想定し対処方法を精査している」

―不安定要素が生産を難しくします。
「頻発している以上異常気象とはいっても異常と捉えず備えなければならない。繊維業界はこれまで『作って売る』ビジネスだったが、需要に柔軟に対応できる環境に配慮した技術を活用し『売って作る』サイクルを回していく必要がある」

―新工場建設のため、19年5月に設立した中国子会社を解散します。
「現状の事業環境では蘇州工場の稼働率を高めれば十分だと判断した。ただし、大切な市場であることは確かであり、基盤を固めた上で再チャレンジしたい」

―19年10月に社長を兼務して以降、組織変更を実施しています。
「営業・生産・技術開発・管理からなる4本部制に加え、2月に独立した組織としてグローバル展開やM&A(合併・買収)戦略などを立案する経営企画室を設置した。現在、その経営企画室を中心に『将来ビジョン』を策定し、我々が社会に対し何をするために存在しているのかを示す」

―新規事業は。
「19年11月に『耐震補強用より線』として日本産業規格(JIS)の認定を受けた熱可塑性炭素繊維複合材料『カボコーマ・ストランドロッド』を重要文化財などへ活用するが、まだこれからだ。09年に開発した緑化基盤材『グリーンビズ』は当時より性能や質感が向上している。炭素繊維でもシート材を開発し、用途を拡大する」

中山会長兼社長

【記者の目】
組織変更や中国事業の見直しなどを素早く決断。策定中の将来ビジョンでは短期的な戦術や売上高目標にとらわれない長期的な方向付けを打ち出す。過剰生産への危機感、天然由来の素材開発など、大きなテーマは「環境」。カボコーマの展開でもJIS化は事業化に向けて弾みにしつつ、視線はすでに先を向いている。

(金沢支局長・本荘昌宏)

日刊工業新聞2020年2月24日

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

染色量に比例して排出される余剰バイオマスケイクの有効利用は、小松マテーレの長年の課題であり挑戦だった。グリーンビズはこれを原料とし、約1000℃で焼き上げた発泡セラミックス。隈さんに何度もダメだしされようやく実用化のめどが立った。「捨てるものから新たな価値を創造する」という姿勢は、小松マテーレの繊維以外の新しいビジネス展開開の根幹をなしている。

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