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ミズノが本気で開発進める「空飛ぶクルマ」向けシートの中身

ミズノが本気で開発進める「空飛ぶクルマ」向けシートの中身

ミズノウエーブの技術を応用した空飛ぶクルマの衝撃緩衝装置(シート下の部分)

シートの衝撃吸収装置設計

ミズノがシューズのソール部分に用いているクッション性と安定性を兼ね備えた独自の波形プレート「ミズノウエーブ」の技術を応用し、「空飛ぶクルマ」向け衝撃緩衝装置内蔵シートの開発が進められている。SkyDrive(スカイドライブ、東京都新宿区)や有志団体のCARTIVATOR(カーティベーター)などが2023年の販売を目指す共同開発にミズノも参画。グローバル研究開発部の金子靖仙(やすのり)技監に、共同開発の経緯や開発状況について聞いた。(大阪・新庄悠)

―共同開発に至った経緯は。

18年10月に開催された講演会でカーティベーターのチーフエンジニアとたまたま席が隣だった。『日本発信の空飛ぶクルマを開発する』という内容の講演をされ、面白いですねと声を掛けたのがきっかけ。当社も『世の中にないものを先駆けて作ろう』というポリシーがあり、意気投合した。後日、当社に来てもらった際にミズノウエーブを体感してもらったところ、可能性を感じていただけた。その2カ月後には具体的な話が始まった。

―開発の内容について教えて下さい。

空飛ぶクルマのシート用衝撃緩衝装置として、どれくらいのエネルギーを吸収する必要があり、人体にどのくらいの荷重が許されるかなどの情報をもらった。それを基に当社の若手エンジニアが設計を進めていった。本格的な性能試験の前に簡易的な試験を行い、微調整しながら、開発から1年弱でプロトタイプが完成した。

―どんな方法で開発要求を実現しますか。

材料が持つ特性ではなく、ウエーブプレートの設計で衝撃吸収が実現できる。今回は空飛ぶクルマに必要な衝撃吸収量などをコンピューターでシミュレーションする。素材ごとに装置を作り、衝突試験していると材料費、時間がかかる。ミズノウエーブはコンピューター上で精度の高いシミュレーションができるので、開発期間の短縮につながる。

―今後の展開は。

3月に行った衝突実験では設計通りの性能が確認できた。さらに、既存の航空機用シートよりも乗員負荷を軽減できる可能性も出てきた。現在は、よりシビアな条件でも衝撃を吸収できるか開発を進めている。

ミズノ グローバル研究開発部技監・金子靖仙氏

チェックポイント/スポーツ用品への還元期待

ミズノはスポーツ用品で培った技術を生かし、他分野の市場開拓を進めている。ゴルフクラブのシャフトなどに使われる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が、トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」の部材に採用された実績もある。金子技監は「今回の共同開発は若手エンジニアの成長につながった」と強調。アライアンスによるシナジーが、今後のスポーツ品開発にどう寄与していくのかにも注目したい。

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