コロナ感染者1000万人、国際協調で期待される日本の役割

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新型コロナウイルス危機で国際協力の重要性が問われている。命を守るという人類共通の課題にもかかわらず各国の足並みはそろわない。日本はコロナ共生時代に対応できるよう国際協調体制の再構築を主導していくべきだ。

米ジョンズ・ホプキンス大学によると、世界の新型コロナ感染者数が1000万人、死者数が50万人を超えた。米国では1日の新規感染者数が連日最多記録を更新し、ブラジルなどの新興国の感染者も増加に衰えが見られない。日本も首都圏を中心に増加傾向が続く。

感染症対策をめぐる国際協調体制の再構築は、いずれの国にとっても意義がある。ある国で感染症を抑制できた知見は他国で生かせる。だが現実には、各国政府の感染症への考え方や財政状況が異なり、抑制への取り組みの共有は進んでいない。

コロナ禍でも米中の溝は一段と深まり、混迷状態が続いている。米国は国際協力の司令塔である世界保健機関(WHO)を「中国寄り」と批判し、脱退の可能性を示唆する。また各国の独自判断による入国規制が国家間のあつれきを生み、国際協力の妨げになっている。

コロナ危機を収束させ、世界経済を成長軌道に戻すには、国際協調しか道はない。それは人類が未知の感染症に備える基盤づくりにもなる。日本の役割は米中の仲を取り持ちながら欧州連合(EU)などと協力し、新たな国際協調の枠組みづくりとWHOの機能強化のための改革を主導することだろう。

特に医療体制の拡充や治療薬開発、ビッグデータ活用などの分野で日本のプレゼンスを高めることが重要だ。産業界も技術協力などを通じて政府を後押しすべきだ。

天然痘根絶や生ポリオワクチンの実用化は、国際協力の成果であることを思い起こしたい。多くの国がコロナ対策で巨額の財政支出を強いられ、経済回復のめどが立たない厳しい状況に直面する。感染の収束が世界で実現しなければ、この苦境を脱出できない。コロナ対策を国際連携強化の契機にしたい。

日刊工業新聞2020年6月30日

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