「新しい生活」で買い物代行サービスの参入相次ぐ、担い手はタクシードライバー!?

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買い物代行サービスに参入する企業が相次いでいる。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛の影響で需要が急増したためだ。緊急事態宣言が解除され需要は一時より落ち着いてきたが、政府が打ち出した「新しい生活様式」は追い風だ。一方、日常的な買い物は従来通りという消費者はまだ多く、このまま新型コロナが収束していけば市場が伸び悩む可能性もある。買い物代行サービスが社会に浸透していくのか注目される。

CBクラウド(東京都千代田区)は4月末、買い物代行サービス「ピックゴー」を7都府県で始めた。松本隆一最高経営責任者(CEO)は「想定の2倍の利用がある」と手応えを語る。タクシー業者では、国際自動車(東京都港区)やキャビック(京都市右京区)が参入。国際自動車は都内6区でサービスを展開し、さらに対象地域の拡大を計画する。

以前からの買い物代行サービス業者も取り組みを強化する。ダブルフロンティア(東京都千代田区)は、提携先スーパーマーケットの店舗数を現在の4店から2021年度に50店舗に増やす計画。

ただ、このまま買い物代行サービス市場が拡大するかどうかは見通しにくい。感染の第2波が来れば再び脚光を浴びるとみられるほか、通販を薦める「新しい生活様式」は利用の動機付けになる。

一方、第一生命経済研究所が5月に実施した調査によれば、日用品や食品の買い物代行サービスについて「感染拡大を機に利用するようになった」と回答したのは4・9%。稲垣円主任研究員は「消費スタイルを大きく変えずに生活した人が多いのではないか」と分析する。買い物代行サービスは一時のブームとして終わりかねない。

ダブルフロンティアの八木橋裕社長は「(買い物代行サービスを)電気などの生活インフラとして定着させたい」と意気込む。新型コロナを契機とした巣ごもり需要の波を着実に捉えるとともに、取扱商品の拡充や利便性向上で魅力を高める取り組みが重要だ。

買い物代行サービスの急増は、コロナ禍による企業間配送トラックやタクシーの需要減で、事業者のドライバー確保がスムーズに進んだことが背景にある。

CBクラウドによると、3月のドライバー登録者数は前年同月比56%増えた。八木橋ダブルフロンティア社長も「仕事が激減したバイク便配達員らから募集があった」と話す。

厚生労働省とLINEが5月に行った調査によると、「収入・雇用に不安を感じている」に「はい」と回答した割合は全体で31.1%だったが、職業種別ではタクシー運転手が82.1%と最も多く、運送業者も44.7%と全体を上回った。こうした中、新たな収入源として買い物サービスにドライバーが流れ込んだとみられる。

新型コロナが収束していく過程で、ドライバーの雇用環境がどう変化していくかも今後の買い物代行サービス市場の行方に影響を与えそうだ。

(取材・張谷京子)

日刊工業新聞2020年6月22日

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