日常生活をスマホ決済で! ペイペイが連携強化で目指す「スーパーアプリ構想」
EC・自治体と連携加速
ソフトバンクグループ傘下でスマートフォン用決済アプリケーション(応用ソフト)を手がけるPayPay(ペイペイ、東京都千代田区、中山一郎社長)の存在感が増している。4月にスマホアプリ「ペイペイ」利用者数が2800万人を突破。新型コロナウイルス感染症の影響はあるが、電子商取引(EC)事業者や地方自治体との連携強化などで加盟店の拡大を図っている。馬場一副社長に環境認識や戦略を聞いた。
―携帯通信大手各社がスマホ決済に力を注いでいます。ペイペイの競争優位性は。「(ソフトバンクは)他社に比べ決済や金融への取り組みが遅かった。追いつくには(消費者が)日常の飲食や買い物をする小さなお店をキャッシュレスにしなければいけないと感じ、営業をしっかりやったことが功を奏した。『今までキャッシュレスじゃなかった店でペイペイを使えるんだ』という消費者の驚きもあり、ある程度の認知がされた」
―新型コロナの影響は出ていますか。「決済回数で言うと、コンビニエンスストアではオフィス街の店舗で朝の決済が減り、住宅街で昼に増えている。合計では減ってはいるが、大きな影響はない。スーパーやドラッグストアは変わらない。マイナス面は(加盟店募集の)新規営業がやりにくいことだ。ECなど、オンラインでの買い物の需要はコロナで加速する。足で稼いできたメンバーをオンラインの営業へ回すなど、社内でのシフトも考えていきたい」
―自治体との連携を進めてきました。新型コロナに苦しむ観光業や飲食業への支援も期待されます。「地元の方々と仲良くしないと加盟店の開拓もうまくいかないので、全社をあげて地域の商工会議所や青年会議所などと話をしてきた。静岡県掛川市では8日から(ペイペイの事前注文サービスを使って)飲食物を持ち帰ったらポイントを付与して、飲食店を支援する企画が7月7日まで行われている」
―ペイペイの機能を多様化する「スーパーアプリ」構想を掲げています。「決済アプリなので、1日に何回も使ってもらいたい。そのためには決済以外のサービスも必要だ。例えば、映画やテーマパークなどのチケットの予約や決済は将来やりたい」
【チェックポイント/表示・操作の明快さカギ】(斎藤弘和)スーパーアプリの例には、東南アジアで配車や食品の配達、デジタル決済といったサービスを使える「Grab(グラブ)」が挙げられる。ソフトバンクグループ傘下のZホールディングスがLINEとの経営統合を決めた背景にも、スーパーアプリ構想の加速がある。ペイペイの機能強化に当たっても“自前主義”にこだわらず、外部の知見をうまく取り入れることが望ましい。利用者に分かりやすい情報の表示・操作形式の追求も必要だ。