アフターコロナへ向かう中国、生鮮食品のネット通販が急拡大か

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JDの「京東到家」(同社公式サイトより)

新型コロナウイルス騒動が沈静化しつつある中国では経済活動の回復を急いでいる。同時に海外からの逆流入による感染拡大を防ぐため、現在は鎖国と称するほど厳格な水際対策をとっており、まだ平時に戻ったとは言い難い。

そうした状況下、ポジティブな側面に目を向けると、隔離や移動・外出制限が長引いたため、オンライン上の“巣ごもり消費”が拡大し、新たなニーズと消費慣習が生まれた。その好例として、生鮮食品電子商取引(EC)の急拡大を挙げたい。生鮮食品ECはEC業界の最後のブルーオーシャンと言われながら、実物を見た上で、新鮮かどうかを確かめ購入したいという中国人消費者の嗜好(しこう)は根強く、これまで低成長にとどまっていた。

しかし、コロナ禍で生鮮食品もECに頼らざるを得ない状況に変わったことで、EC最大手アリババの「盒馬鮮生」やJDの「京東到家」、中堅プレーヤーの「美団点評」、新興の「毎日優鮮」や「Dingdong買菜」など、生鮮食品プラットフォーマーの利用者数や売上高が急増している。

一方、注文の激増に配達が対応できないといった人員不足の問題が浮き彫りになっている。その対策として、アリババは他企業にスタッフシェアリングを呼びかけ、休業している外食企業から約5000人を受け入れた。さらに、アリババはこれを契機に従来のようなモノを中心とするシェアリングビジネスからヒトのシェアリング仕組みを作ろうとしている。また、生鮮食品ECは配達の効率化と非接触を図るため、個々の配送を社区(ここではマンションの敷地を指す)ごとにまとめて届け、購入者が指定の場所へ取りに行く「社区共同購入」サービスを立ち上げた。

外出制限による配車ニーズの急減で影響を受けた配車業界では新しい動きも現れている。配車アプリ大手の「滴滴出行(DiDi)」は業績の低迷と仕事のないドライバーの流出に歯止めをかけるため、ドライバーによる買い物代行サービスを打ち出した。代行サービス市場は、フードデリバリーほど浸透していないものの、ポテンシャルの高さと、最近のニーズ拡大を受けて、既存プレーヤーを含め、インターネット企業や宅配大手などが積極的に参入して、既に厳しい競争が繰り広げられている。配車サービスでユーザー基盤と運営ノウハウを持つDiDiが勝ち残れるかどうか注目されるところである。

生鮮食品EC、代行サービスのいずれも、アフターコロナで定着できるか、課題は残る。だが、中国ではコロナ禍の逆風をチャンスにする新たなビジネスモデルの模索が今後も続くことは間違いない。

(文=伊藤忠総研産業調査センター 趙瑋琳)

日刊工業新聞2020年4月23日

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