「機械の原点」工作機械、日本がものづくり立国として世界をリードできるワケ
マザーマシンと呼ばれる工作機械 あらゆる機械を生み出す
工作機械は「マザーマシン」、あるいは「機械の原点」とも呼ばれています。その理由は、図1に示すようにあらゆる機械を構成している機械部品をつくり出しているのが、工作機械であるからです。ここで大事なのは、私たちの道具としての機械を構成している部品を直接つくり出すだけではなく、私たちの生活に必要な各種製品をつくり出すための道具としての機械(産業機械)を構成している部品もつくり出しているのです。つまり工作機械は、まさしくあらゆる機械を生み出し、私たちの生活にはなくてはならない機械ということになります。この機械のお陰で、私たちは便利で豊かな生活を送れているといっても過言ではありません。工作機械は、一国の産業を支えている重要な機械であり、その国の工作機械の技術レベルは、その国の豊かさを示しているといわれるほどです。
その工作機械技術で、日本は世界のトップレベルなのです。このことは、一般の皆さんにはあまり知られていませんが、日本がものづくり立国、技術立国として、世界をリードできる所以なのです。
工作機械は、日本産業規格(JIS B 0105)では、以下のように定義されています。
「工作機械とは、主として金属の工作物を、切削、研削などによって、または、電気、その他のエネルギを利用して不要部分を取り除き、所要の形状につくり上げる機械。ただし、使用中機械を手で保持したり、マグネットスタンドなどによって固定するものを除く。」
工作機械は、この定義で示されているように、不要部分を取り除く除去加工を行う機械です。この他に、表1に示すように除去の逆で、付加して必要な形状・寸法、品質にしていく溶接、3Dプリンティングやメッキといった付加加工法と、型により成形する成形加工法があります。これらの加工が製造工程の中で、どのように使われているかを図2に示します。
工作機械は「マザーマシン」とも呼ばれ、機械工業の土台と言われている。日本のものづくりは工作機械に支えられているといっても過言ではない。本書は、工作機械とは何かから始まり、その仕組みや種類、加工方法から最新の工作機械事情まで盛り込んだ入門書である。
書名:今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい工作機械の本 第2版
編著者名:清水伸二、岡部眞幸、澤武一、八賀聡一
判型:A5判
総頁数:160頁
税込み価格:1,650円
<執筆者>
清水伸二(しみず しんじ)
日本工業大学工業技術博物館館長、同大学客員教授、上智大学名誉教授、MAMTEC代表(技術コンサルティング事務所)、工学博士
岡部眞幸(おかべ まさゆき)
職業能力開発総合大学校能力開発院教授・教務部長、工学博士
澤 武一(さわ たけかず)
芝浦工業大学デザイン工学部デザイン工学科教授、博士(工学)
八賀聡一(はちが そういち)
元・日本工作機械工業会事務局長
<販売サイト>
Amazon
Rakutenブックス
Yahoo!ショッピング
日刊工業新聞ブックストア
<目次(一部抜粋)>
第1章 工作機械って何?
機械とは/産業に役立つ機械/マザーマシンと呼ばれる工作機械/工作機械は、一般の機械とどこが違うのか/工作機械の基本的な種類
第2章 工作機械が動く仕組み
工具・工作物が正確に回転する仕組み/工具・工作物がまっすぐ動く仕組み/工具を自動交換する仕組み/工作機械の制御装置/図面情報の流れとNCプログラムの仕組み
第3章 工作機械に求められる特性
工作機械に働く力の種類と特質/振動に強くするためには/高い精度で動かすためには/長い間使えるようにするためには/省スペース・コンパクト化を実現するためには
第4章 基本的な工作機械
旋盤/フライス盤・中ぐり盤/ボール盤/平面研削盤/放電加工機/金切りのこ盤
第5章 工作機械で出来る基本的な加工
旋盤で行う加工/フライス盤・中ぐり盤で行う加工/ボール盤を用いた加工とその工具/研削盤で行う加工/表面仕上げ工作機械で行う加工/放電加工機で行う加工
第6章 付加価値を追求する工作機械
5軸制御マシニングセンタ/グラインディングセンタ/超精密加工機/超大形工作機械/レーザ加工機/超音波加工機/金属積層造形装置/IoTとAIを活用する工作機械
第7章 工作機械の歴史
工作機械の生い立ち/機械構造と送り機構の変遷/各種の工作機械開発/日本の工作機械の歴史