5割減の工作機械受注だが一部で明るい兆しも。「中国で回復基調に入っている」
日本工作機械工業会(日工会)がまとめら4月の工作機械受注実績(速報値)は、前年同月比48・3%減の561億2700万円となり、19カ月連続で減少した。2010年1月以来の600億円割れ。新型コロナウイルスの感染拡大により、企業の設備投資の凍結や延期が発生したことが響いた。
内需は同51・4%減の211億6100万円で、17カ月連続の減少。企業の生産活動停滞に伴う設備投資の抑制に加え、工作機械メーカーも営業活動を制限されたことで、受注低迷が続いている。外需は同46・3%減の349億6600万円。19カ月連続の減少で、350億円を下回ったのは09年11月以来となる。
新型コロナの収束時期を見通しにくく、先行きは引き続き不透明だ。日工会では「今後も厳しい状況は続く」(調査企画部)と見ている。
自動車向けが焦点に
日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の4月の受注実績は、前年同月比43・2%減の182億5400万円だった。新型コロナウイルスの感染拡大により、企業の設備投資の先送りや見直しが発生。自社の営業活動制限も影響し、6社が国内外ともに減少となった。ただ経済活動再開の動きも出始めており、業界からは今後の受注回復に期待する声も挙がる。
牧野フライス製作所は米国の航空機関連や中国の自動車向けが低迷したことで、4月単月として2010年以来の40億円割れとなった。オークマは国内が政府の緊急事態宣言で商談などが止まり、4月単月では10年並みの水準だった。三菱重工工作機械は「インド向けの歯車機械でまとまった受注があった」(事業戦略推進室)ことで、7社のうちで唯一、海外が増加となった。ジェイテクトは海外が減少したものの、中欧などで自動車向けの受注があり、減少率を1ケタ台に抑えた。
国内外の受注環境は依然厳しいが、芝浦機械は「中国では受注実績があり、回復の兆しが見えつつある」(広報・IR部)と、中国の受注環境を説明。オークマも「中国で建機、油圧系部品が回復基調に入っている」(マーケティング室)という。
今後、日本を含めた中国以外の国でも経済活動再開の動きが進むことで、各社の受注環境の改善につながることが期待される。ある工作機械メーカー首脳は「(落ち込んだ需要が)自動車分野を中心に、いつ反発するかが今後のポイントだ」と指摘する。
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