米と共同開発が有力な「F2」後継、“国産主導”のカギを握る長距離ミサイル

情報ブラックボックス化の懸念再び

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「F2」戦闘機(航空自衛隊公式ページより)

防衛省は航空自衛隊戦闘機「F2」の後継となる、次期戦闘機の開発チームを防衛装備庁内に20数人規模でスタートした。空自から出された機体のイメージはほぼ固まっており、後は生産企業と役割分担をどう決めるかが中心作業になる。開発を国産100%で行うことは運用面やコスト面から考えるとまず不可能で、日本主導の原則を押さえつつ、米国や英国など外国企業参加をどこまで認めるかが焦点になる。ただ、何をもって日本主導と見なすかについては、あいまいさが残る。

外国企業参加については「日本主導原則が守れる」との見地から、当初は英の次期戦闘機テンペストの共同開発に乗る案が有力だった。だが、テンペストが掲げた性能イメージを本当に実現できるのかの技術的問題や、英も自国企業保護を最優先に据えている方針が明らかになり、現在は米との共同開発案が優勢だ。

実際、空自戦闘機の大半を米軍機が占め、システムにがっちり組み込まれてしまっている状況では英との新戦闘機開発は運用面からも費用対効果からも疑問符がつき、米との共同開発はやむを得ない選択と言える。

そもそも英との共同開発案が浮上した背景は、F2開発の際に米が要となる飛行制御ソフト情報を開示せず、ブラックボックスで日本が苦労した苦い経験と歴史があるためだ。米との次期戦闘機開発も、似た構図になる可能性は否めない。

次期戦闘機に求められるのは尖閣諸島沖や日本海まで幅広く飛んでいける航続能力、ギリギリまで敵に気づかれないステルス能力、敵より遠方から攻撃できる長距離ミサイル搭載能力だ。次期戦闘機配備が始まる2030年代半ばに空自の主力機は約150機あるF35のため、これとの組み合わせ運用や役割分担もポイントになる。

現代の空戦は個別の戦闘機の能力で決まるわけではない。早期警戒管制機(AWACS)や電子戦支援機などの支援体制、レーダー性能、ミサイル性能、ステルス能力を加味した総合力で決まる。機体軽量化に不可欠な複合材の加工技術と成形技術、センサー技術やフェイズド・アレイ・レーダー、戦闘機用エンジンで日本は世界大手と肩を並べたと言われるが、実戦でどれだけ使えるかは不透明なままだ。

ミサイルやレーダーの技術は年々、進歩する。中東や太平洋、大西洋まで世界全土に展開する米軍機と、南西諸島沖合や日本海で中国戦闘機などと戦いが予想される空自機では、飛行機やミサイルに求める性能が異なる。日本独自の要求を満たす戦闘機を作るのは、国産主導機が最適なのは言うまでもない。

国産主導機なら日本メーカーの開発した新ミサイルや新電子兵器も容易に搭載・交換できるが、米製や米主導開発機の場合は改造に新たな時間とコストがかかり、結果的に“間に合わない兵器”と化してしまう可能性もある。

装備のハイテク化、電子化が進むにつれ米など軍事先進国は必要情報をブラックボックス化し、日本企業が技術を習得できる機会は狭まっている。独自技術や強みがないと共同開発しても日本側に発言権がなく、米の言いなりになるおそれが多い。担当者は今後が正念場だ。

(取材・嶋田歩)

日刊工業新聞2020年5月6日

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