「F2」後継に搭載が見込まれる戦闘機エンジン、今の実力値

IHI取締役常務執行役員・識名朝春氏に聞く「民間受注にも追い風に」

 ―戦闘機「F2」後継機に搭載が見込まれるエンジン「XF9―1」も開発済みです。
 「開発済みといっても、あくまでプロトタイプ。台数も1台しかない。エンジンは普段より厳しい条件で試験して問題点をあぶりだし、一つひとつクリアしてようやく一人前になる。ただ、実際にエンジンができて推力15トンを達成できたことは大きな自信になった。ミニチュアモデルと現物とでは説得力が違う。実際に海外からの問い合わせも増えた。民間エンジンの受注にも追い風になる」

 ―他にも多様な性能が求められそうです。
 「米ゼネラル・エレクトリック(GE)や米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)と共同開発する民間エンジンでは、IHIの参画率は十数%から20%台。一方、XF9―1は100%だ。圧縮機や燃焼器、セラミックス基複合材料(CMC)製シュラウドといった独自要素技術に加え、品質管理、納期管理など全てをまとめ上げる能力が求められる。要素技術はほぼめどがついた。今後は次の挑戦になる」

 ―欧エアバスの単通路型機用エンジン「PW1100G―JM」の生産が活況です。
 「生産台数は2018年の660台に対し、19年は730台を見込む。もっとも、収益ベースでは、まだ赤字。航空機エンジン事業は足が長いビジネスで、投資回収に15―20年かかる。開発期の先行投資はもちろん、増産段階に入っても赤字がしばらく残る。投資回収できるのは部品・整備拡大期に入ってからだ。今、収益に貢献しているのは1世代前の『V2500』など。今後は徐々にPW1100に置き換わる。米ボーイングの旅客機『777X』向けエンジン『GE9X』も立ち上がってくる。我々は15年先を見据えている」

【記者の目】
 国産戦闘機「F2」の開発では、日本に推力が十分ある国産エンジンができていない弱みがあった。XF9―1でその心配はかなり払拭(ふっしょく)されたと言えよう。だが、トランプ米政権の動向など先行きに一抹の不安は残る。民間エンジンは航空機需要の堅調な推移を背景に伸びが見込まれる。生産効率向上をどう進めていくかもカギだ。
(日刊工業新聞・嶋田歩)

日刊工業新聞2019年8月29日の記事を再編集

  

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