産業界が「防護用品・医療機器」供給増に総力戦、異業種からも支援相次ぐ
新型コロナウイルス感染症対策にかかわる政府からの協力要請を受け、医療現場に欠かせない感染防護用資材や医療機器の供給拡大に、産業界が総力を挙げている。興研がマスク、花王が消毒液の増産を打ち出したほか、自動車メーカーが医療用フェースシールドの製造に乗り出すなど、異業種も応援体制を整え始めた。患者の治療に当たる医療現場の品薄を解消しようと、官民を挙げたオールジャパンの取り組みが急ピッチで進む。
各社の取り組みはマスクなどの感染防護用資材や医療機器の不足状況が、医療現場で深刻化していることを受けた政府の増産要請に応えたもの。このうちマスク不足に対しては興研が16日、医療用のマスクと同等の性能がある「DS2」規格の防塵マスクの製造設備増強を発表した。生産能力を約1・4倍に高め、8月ごろから順次稼働させる計画だ。
花王や資生堂は消毒液の生産・供給に力を入れる。花王は製造委託先との協力体制を強化するほか、国内の自社工場も活用し、5月には前年の20倍に相当する月200万リットルの生産体制を整える。
自動車各社は医療用フェースシールドの生産を始める。トヨタ自動車は週500―600個の生産を目指して準備中。日産自動車は月産2500個体制を4月中に整える。ホンダも5月末までに生産を開始する計画だ。
医療現場の資材不足を踏まえ、安倍晋三首相は15、16の両日に関係各社の首脳・幹部とテレビ会議方式で会談し、もう一段の協力を求めた。この中で安倍首相は生産設備の導入に対する補助金や、原材料の調達を支援する取り組みなどで、各社を全面的に支援する考えを表明。増産後に製品が売れ残ることがあれば「国が備蓄用に買い上げる」として積極投資を促した。
日刊工業新聞2020年4月17日