人工呼吸器3Dプリンターで造形。データ無償提供、7カ国以上から要請
【広島】広島大学の木阪智彦准教授と国立病院機構新潟病院(新潟県柏崎市)の石北直之医師を中心とするワーキンググループは、電源がなくても作動する安価な人工呼吸器を市販の3Dプリンターで造形できるよう、製造データを無償提供するプロジェクトを始めた。今後、広島大での治験や安全を担保できるよう製造に関する品質管理に取り組み、必要とされる国や地域での認証を目指す。
国内向けには早ければ8カ月、遅くとも2年後をめどに医薬品医療機器総合機構(PMDA)の認証取得を目指す。
3D製人工呼吸器は、重さ約55グラムの手のひらサイズで、石北医師が2017年1月に完成させた。本体、ハンドル、バネ、バルブの4点で構成し、バネを含め全パーツを3Dプリンターで作れるようABS樹脂製とした。
肺から排出される息で伸縮するバネを動力源とし、呼吸の度合いに応じ、バネの強弱を手動ハンドルで調節して呼吸を確保する。市販の3Dプリンターなら8―10時間で造形でき、製作費は1個約50ドル(約5400円)という。
現在、イタリアや米国など7カ国以上から要請がある。完成品を使用するにはその国や地域での許認可や、安全性を担保する品質管理が要る。今後はクラウドファンディングなどを通じてこれらに関わる活動資金を調達し、実用化を急ぐ。
<関連記事>
金属積層造形の技術はここまで進化している!
日刊工業新聞2020年4月3日