文書改ざん、光と音で見破る!インクの違いを解析

青山学院大と科捜研

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元の文字(左)に黒塗り(中央)しても、光音響で解読できる(右)

【相模原】領収書の不正、光で見破ります―。青山学院大学理工学部の鈴木正教授と柏原航助教、警視庁科学捜査研究所(科捜研)の鈴木基嗣氏は、書き加えて改ざんした数字や、黒塗りされた文字の処理前の状態をレーザー光で判別する技術を開発した。数字や文字が書かれた紙に光を当てると発する微弱な音を解析し、インクの成分の違いなどを導き出す。現状は1文字の分析に数分かかるため自動化やスピードアップの研究を進める。絵画の真贋(しんがん)判定にも応用できそうだ。

光を対象物に当てた際、熱によって対象物が膨張して音を発する「光音響」という現象を利用した。今回、紙をガラス上に固定し、ガラス面側から細い紫外線レーザー光を当て、反対側から高精度マイクで音を拾う装置を開発した。片側だけガラスで固定するため紙自体が振動し音を拾いやすいという。レーザー光で全体をスキャンし、発した数デシベルの微弱音を数十デシベルに増幅して分析する。

インクは多くの色素や顔料を混ぜて作り、メーカーや色、種類ごとに成分が違う。今回の分析技術では成分の違いからインクの違いが分かるほか、同じペンを使って加筆しても、重ねて塗った部分が判別できる。こうした違いから、加筆や黒塗りの前の状態を割り出す。

両者は分析精度を高める研究や分析の自動化に取り組む。インク類などのデータベースや、人工知能(AI)を組み合わせた分析システム作りも視野に入れる。

日刊工業新聞2020年4月2日

COMMENT

石橋弘彰
相模支局
支局長

紙にレーザー光を当てると画面に隠された文字が浮かび上がってくる。映画やドラマに出てきそうな世界に近づいたと言える。現状は音の増幅などに大がかりな機器が必要で、かつ1文字を精密に分析するには数分かかるため分析システムを量産したり気軽に使ったりすることはできない。だが、小型軽量化がすすめば、一般の企業でも文書のごかましができなくなる時代が来るかもしれない。

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