多額の接待費に発注ミス、外部から招いた幹部の相次ぐ不祥事で倒産した戸建工事会社の悲哀

アズールにみる小規模業者のリスク

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戸建て建築工事のアズールは2019年12月、横浜地裁より破産手続き開始決定を受けた。当初は代表が1人で切り盛りする住宅用鋼板の板金工事からスタートし、その後に事業を拡大した。きっかけは、得意先の工務店部長を務めるA氏からの誘いだった。13年1月期から本格的に住宅建築事業を開始し、A氏はアズールの経営に参画した。

赤字、債務超過が続いたが、横浜近郊の戸建住宅の新築工事を手がけるようになると、順調に受注を獲得し14年11月期には年売上高約4億5800万円まで伸ばした。しかしこの間、原材料高騰に加え、下請け受注による低採算に苦しんだ。

破産後の代表者の陳述書によれば、ここで損益の足を引っ張ったのが、A氏による接待交際費だったという。業績が伸び始めた13年1月期ごろから徐々に増えていたが、代表が調べたところ「横領」の疑われる不正な取引が複数判明。15年には弁護士を交えて話し合う中で、A氏本人も当時の不正を認めたといい(A氏側は否定)、数カ月後に会社を去った。

その後、以前から知り合いだったB氏に外注で営業等を任せる新体制を採った。B氏の提案を受け入れる形で多額の設備投資を実施したものの、売り上げは増えるどころか受注件数は減り、請負代金も低下、追加工事の発注ミスも起きた。

17年6月頃には、B氏に依頼していた業務の請負代金が過大請求であることも発覚。ただでさえ、一向に上がらない損益の足をさらに引っ張った。度重なる不祥事が取引先にも漏れ伝わり、受注減に拍車がかかるなか、19年末に自己破産に追い込まれた。

外部から招聘(しょうへい)した幹部に不正の疑いが浮上し、その後任として営業面を任せた協力者による不正も発覚。経営体力に乏しい小規模業者にとっては一つの不祥事ですら自社の屋台骨を揺るがしかねない。まして二つ以上であれば、なおさらだろう。

(文=帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2020年1月28日

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