顔写真を撮ってアップするだけ!コーセーの似合う色が分かるサービスの狙い

色が変えるビジネス #6 コーセー(パソカラ) 

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スマートフォンで顔写真を撮るだけで、簡単に自分に似合う色がわかる「パーソナルカラー診断」を行える「パソカラ」。パーソナルカラーに合ったメイクアップ商品も同時に知ることができる。  提供しているのはコーセーのメイクアップブランド「ヴィセ リシェ(以下ヴィセ)」。リリースから1年以上が経過してもなお、利用者数は安定して推移し、人気コンテンツとなっている。

300万人が来訪

パソカラは2019年2月に発売したアイシャドウ「マイヌーディ アイズ」のプロモーション施策の1つとしてスタートした。「『お客様がどの商品が似合うのかを簡単に知ることはできないか』という話がブランド担当者からありました。ヴィセはトレンドを強く意識したブランドなので、他社がやっていない体験を提供したいと考えました」(コーセー宣伝部の川添慎太郎氏)。

コーセー 川添慎太郎氏
 世の中的にもパーソナルカラーが話題になっていたが、それを軸に商品を提案するというサービスはまだなかった。その時ちょうどITサービス開発のデジタルガレージと縁があり、パーソナルカラー診断サービスなどを行うStyle Works(東京都港区)と共同で開発したパーソナルカラー判定サービス「irofit」を導入した。irofitは機械学習を活用したサービスで、写真をアップロードすることでパーソナルカラー診断を自動で行い、それに合った商品を提案するというもの。これをヴィセ用にカスタマイズし「パソカラ」としてスタートした。
パソカラの使い方
パソカラの診断結果例
パソカラで診断結果ごとにおすすめされる商品の例(グロッシーリッチ アイズ N)
 「マイヌーディ アイズは『似合う色』をコンセプトにしていたので、お客様に似合う色を提供するというパソカラと方向性が合いました」(コーセーコンシューマーブランド事業部C/B企画部の蝦原実月氏)。

コーセー 蝦原実月氏

リリース時にウェブでPRを仕掛け、一気に利用者が拡大した。拡散しやすく、利用しやすいサービスの肝は、ウェブブラウザ上で全て完結する形になっていること。アプリ化するとダウンロードする手間もあり拡散力や利用率が下がると考えたのだ。「現在(2020年2月)までに300万人がトップページに訪れており、そのうち約6割が体験につながっています」(川添氏)。
 プロモーションを大きく打ったリリース直後以降もコンスタントに利用者が訪れ、2019年3月から2020年2月まで利用者数はほぼ横ばいとなっている。また2019年11月から店頭QRを設置したところ、1万人ほどが訪問するようになった。新製品が出るたびにパソカラへの誘導を設置していることもあるが、自然検索からの流入も増えている。ヴィセの商品に興味がある人だけでなく、単純にパーソナルカラーが知りたい人が利用することも増えているようだ。男性の利用者も一定数見られた。
 「店頭からこれだけ利用されるのは意外でした。決して安い投資ではありませんでしたが、効率の良いリーチ方法になっていますし、ターゲティング広告も行えるため、プラス要素は大きかったと考えています」(川添氏)。
 また商品の売上にも貢献。マイヌーディ アイズは発売から累計2カ月の出荷実績でNo1の売上を推移しました(※)。パソカラの効果も大きかったのではと思います」(蝦原氏)。

マイヌーディ アイズ

選ぶ基準が変わる

パソカラと関連したプロモーションも行った。例えば、雑誌では従来からヴィセ商品を使ったメイクアップのプロモーションページを作成していた。これをパーソナルカラーごとに4人のモデルを起用し、それぞれに合った商品でメイクアップをするという企画を行った。ただし、メイクには「実際に店頭で試して購入したい」というニーズが強く、雑誌からそのまま通販に結びつく率は低かった。

「メイクに限らず、パーソナルカラーを知ることでライフスタイル全般の選ぶものが変わってくると思う」と川添氏は話す。自分に似合っているかどうかを客観的に納得する指標として、パーソナルカラーが支持された。化粧品業界では他社でもパーソナライズ化の傾向が強く、「自分に似合うものが欲しい」というニーズが強まっている。パーソナルカラーはそういった流れにも合致したのではないだろうか。

【関連記事】若者の買い物動向を変える「パーソナルカラー」はなぜ人気なのか?

入口の一つに

商品への入り口はCMや店頭など様々な種類があるが、その1つとしてパソカラが確立しつつある。「ぶれないプロモーションとして、続けることに意味があると考えています」(川添氏)。2020年も引き続き、新製品が出るごとにパソカラを使った提案をしていく予定だ。
 しかし2018~2019年はパーソナルカラーがトレンドだったが、2020~2021年はパーソナルカラーに関わらずカラフルなメイクがトレンドになってくる。「パソカラは定番商品を選ぶ時にお客様の手助けになるような提案をしていけたらと考えています」(蝦原氏)。
 ヴィセはアジアでもブランド展開をしており、2020年度中にはパソカラもアジアでのサービス開始を目指している。

現在ヴィセではテレビCMをせず、ウェブを中心にYouTuberやインフルエンサーなど、多様なメディアや方法を組み合わせたプロモーションを行っている。広いブランド認知ももちろん必要だが、商品の理解を深めるようなプロモーションに注力しているためだ。商品の使い方や特性、良さを伝えるようなプロモーションを厚くしていくと、間口は広くなくとも最終的な購買に繋がりやすいという調査結果が出ていると川添氏は話す。2020年2月に発売したアイシャドウもこの戦略をとり、初動が良いという。
 「ヴィセはトレンドを意識したブランドなので、新たな取り組みをいち早く取り入れることができます。パソカラもその一環」(蝦原氏)。今後も世の中の動きの先を見て、プロモーションに取り組んでいく。

(※)「ヴィセ リシェ」デビュー以来、アイカラーカテゴリーの中での実績
パソカラ https://personalcolor.visee.jp/

【特集・色が変えるビジネス】
 商品やサービスのイメージを伝え、消費者の心を直感的に掴む「色」。その背景には、トレンドを細かく分析したり、世界観を作りこんだりと各社の綿密な戦略がある。色が変えゆくさまざまなビジネスを取材した。

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COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局
記者・編集者

利用されるたび、機械学習により精度が高まっていくとのこと。ちなみにパソカラ利用結果のうち、一番多かったのはサマータイプだそうです。現在アプリや質問に答えることでパーソナルカラーを知れるサービスは他にもありますが、パソカラは今後も手軽に利用できるサービスとして提供していくとのこと。

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