「韓国っぽい」はすでにファッショントレンドの一部?

連載・韓国コスメの底力 #2

2019年9月にルミネエストにオープンした「イニスフリー」

化粧品を販売する小売店やファッションビルでは、韓国コスメのブームをどう見ているか。売り場や取り扱い商品、顧客層の変化について聞いた。(取材・昆梓紗)

売上は昨年の1.3倍

日用雑貨や文具など幅広い商品を扱うバラエティショップのロフト(東京都渋谷区)では、2015年ごろから韓国コスメ関連商品の取り扱いが増加。「はじめにブームとなったのは『ティントリップ』で、これをきっかけに取扱商品が拡大していきました。スキンケア部門ではシートマスクがじわじわ人気になっていました」(商品部健康雑貨部バイヤーの中川真理子氏)。

現在メイクアップ商品では220種類、21ブランドを取り扱っている。売上は昨年の1.3倍だという。これはロフトで取り扱う韓国コスメ以外の商品と比べても大きな伸びとなっている。

ロフトの化粧品売り場の韓国コスメ

韓国コスメが火付け役となり、売上が前年比4倍となった商品が「シェーディング(※1)」である。もともと日本人はシェーディングをメイクにあまり取り入れていなかったが、韓国での人気が日本にも伝わり、韓国コスメブランド「Too Cool For School」のシェーディングがコストパフォーマンスの良さもあり一気に広まった。そこから「シェーディング」アイテム自体が人気になっていったという。

「Too Cool For School」のシェーディング

 
売上の伸びに伴って、購買層も拡大している。はじめは流行に敏感な高校生、大学生が主な顧客だったが、そこから小中学生にも人気が広がっているというのだ。これは特にYouTuberの影響が大きい。そして韓国コスメの特徴の1つである「安さ」がそれを後押しし、若年層に幅広く購入されるようになっている。

「少し前では『日本製品以外の化粧品は怖くて使いにくい』という人もいましたが、現在では特に抵抗なく使われています。若者の間ではコスメだけでなく食べ物やアイドルなどカルチャー全体が幅広く好まれる傾向にあり、逆にプラスの印象を持って韓国コスメを積極的に取り入れていますね」(ロフト商品部健康雑貨部チーフバイヤーの塙有紀氏)。

ロフトで販売する韓国コスメ(一例)


若者に刺さるコスメ

若者向けのテナントを多く擁するルミネ(東京都渋谷区)でも、韓国コスメの店舗は増えている。2011年にエチュードハウスがオープンしたことを皮切りに、2019年11月現在では12店舗が営業している。10代~20代をターゲットにした「ルミネエスト」での出店が多く、常設店だけでなく短期~長期ポップアップストアもいくつか展開している。化粧品関連テナントを担当する営業本部ディレクターの小出諒子氏は「ルミネ自体でコスメの店舗は増えており、その中でも若者に刺さるコスメとして、韓国コスメの店舗を導入しています」と話す。女性のみならず男性も韓国アイドルなどを意識したファッションが人気だ。

また、韓国コスメやカルチャーの流行や経済がSNSを中心に動いている点も大きな特徴だ。若者が現地で流行している韓国コスメやファッション、カルチャーをいち早くチェックするのはSNSだ。そして取り入れたメイクやファッションをさらにSNSで拡散する。日本で販売する側も同様に、ターゲットとする客層に何が流行しているか、次にどのような商品を仕入れるかの情報を知るためにSNSは欠かせない。韓国コスメメーカー側もSNSを有効活用している。商品の機能や特徴を謳うのではなく、ブランドの世界観やデザインを伝えることに長けている点が、「映える」ことを意識する世代にヒットしている理由の1つではないだろうか。

エチュードハウスのメイクアップ商品

「韓国」がファッションの一部に

韓国コスメ人気はブームから定着へ推移しているのだろうか。ロフトの中川氏は「部分的に定着してきているものが出てきている」と話す。例えばティントリップは日本上陸当初、色が日本人には派手すぎるところがあったが、現在では日本メーカーも多数発売しており日本人の肌になじみやすい製品も増えた。ピーリングやクリームなどでも同様の展開が見られるという。ロフトではこれまでメイクアップ部門の韓国コスメが大きく伸び、取り扱い数も多かった。
 今後はスキンケア、特にブランドライン商品(※2)に伸びしろがあるとみており、品揃えを強化していくという。また2020年1月上旬~2月上旬にかけて、渋谷ロフトにて韓国コスメをまとめた企画コーナーを展開予定だという。

ルミネの小出氏は「ファッションの志向で『フェミニン』『カジュアル』などがある中に『韓国っぽいもの』が一つの選択肢になってきている」とみる。はじめはルミネエストだけの展開だった韓国コスメの店舗も、他の館への出店が広がっており、今後の客の動向を見てさらに出店エリアを拡大していくと話す。

(※1)顔に陰影をつけて立体的に見せるメイク
(※2)洗顔、化粧水、乳液などスキンケア一連の商品

連載・韓国コスメの底力(全4回)

世界で注目を集める韓国コスメ。日本でも若者を中心にブームが起きている。その背景と底力に迫る。
【01】アイスタイル(11月15日公開)
【02】ロフト・ルミネ(11月18日公開予定)
【03】韓国の化粧品業界(11月下旬公開予定)
【04】ミシャジャパン(11月下旬公開予定)

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局
記者・編集者

日本に上陸しているブランドは少ないですが、小売店などでの取り扱いは確実に増加しています。日韓関係の悪化が報道されていた時期でも、若者たちは韓国のファッションやコスメを変わらず消費していました。

関連する記事はこちら

特集