電事連の会長に九電社長、「主要3社以外から初」の事情
電気事業連合会(電事連)の会長に14日付で九州電力の池辺和弘社長(62)が就任した。勝野哲会長(65)が中部電力社長を31日付で退任するため。東京電力ホールディングス(HD)、関西電力、中部電の3社以外からの会長就任は初。関電の高浜原子力発電所(福井県高浜町)をめぐる金品受領問題で低下した電力業界の信頼回復に取り組む。
電事連会長は3社の社長が務めるのが慣例だったが、2011年の福島第一原発事故後は、関電と中部電の社長が会長を務めてきた。関電の岩根茂樹社長は19年6月に電事連会長に就いたが、金品受領問題が発覚して10月に辞任し、6月まで3年間会長を務めた勝野氏が再登板していた。
電事連の13日の会見で池辺氏は原発について「地球温暖化防止には原子力と再生可能エネルギーが重要との理解は深まりつつある。温暖化が進むに連れて理解は進む」との見解を示した。
電力業界の信頼回復については、関電の第三者委員会が14日に調査結果報告で会見することに触れ、「内容を私なりに理解し、コンプライアンス(法令順守)の取り組みの改善に向け、(電力各社社長が月1回集まる)企業倫理等委員会で議論したい」と話す。
電力業界では関電と九電が原発4基を再稼働している。電事連は関電をトップに再稼働原発の増加に向け推進する計画だったが、金品受領問題で計算が狂った。勝野氏が再登板で火中の栗を拾ったが、中部電の社長在任期間が4年を超えており、ショートリリーフとの見方があった。
勝野氏は13日の会見で「4月に(中部電社長を)バトンタッチする前提で引き受けた」と再登板の経緯を明かし、「レジリエンス強化などに取り組み、達成感があった」と総括する。
関電と並んで再稼働の実績がある九電の池辺氏は、岩根氏辞任の際も後任候補と目されていた。満を持しての就任になるが、九電は東京との距離や政界・中央省庁との関係の深さで、3社よりも厳しい立場にある。池辺氏がそうしたハンディを乗り越え、電力業界の信頼回復に向けてリーダーシップを発揮できるかが問われる。