3200万個売り上げたローソン「バスチー」、おいしさの決め手は?
ローソンが3月に発売したバスク風チーズケーキ「バスチー」(消費税込み215円)は、発売3日で100万個を販売。2009年発売の人気商品「プレミアムロールケーキ」を超え、11月末までに3200万個を売った。バスチーの販売が貢献して、同社の19年3―8月期売上高は過去最高を更新。ライバルのコンビニもバスク風チーズケーキを発売し、今も販売増が続く。
これまでローソンにとってチーズケーキは苦戦してきた商品。だからこそ東條仁美中食商品本部ベーカリー・デザート・FF部シニアマーチャンダイザーら開発メンバーは「チーズケーキにはポテンシャルがある」とみていた。プレミアムロールケーキ発売から丸10年経ち、社内では「ネクストプレミアム」の期待も高かった。
そんな時、専門店を中心にバスク風チーズケーキ人気が広がりを見せていることに気付いて早速購入した。表面は焼いているのに、中はレアっぽい独特の食感。何よりおいしい。開発メンバーらは「バスク風に可能性がある」と判断した。
今までのチーズケーキにない特徴はわかっていたものの、試作段階ではしっとりした食感を出す難しさに直面する。焼くとすぐに火が通ってしまい、しっとり感がなくなる。焼く温度と時間調整が微妙で「全国の工場で品質を担保できるのか」(東條マーチャンダイザー)がネックとなった。結局、表面と底のカラメルは手作業で焼くことに決定。大量生産となった今も手作業が続く。
東條マーチャンダイザーは「専門店とは違う、いつでも気軽に食べられるのがコンビニスイーツの良い点」とし、スイーツ市場拡大の余地は十分あるとみる。「今後もお客さまの印象に残り、リピートしてもらえる商品を作りたい」(同)と、20年3月をめどに、まだコンビニにはない新しいスイーツを投入する計画だ。大ヒットを手がけて得たやりがいと手応えは、東條マーチャンダイザーを突き動かす原動力となっている。