日産系サプライヤー、事業撤退・工場集約など合理化相次ぐ 

日産の業績不振がサプライヤーを直撃

日産自動車と取引が多いサプライヤーが相次いで合理化に乗り出す。ファルテックは2019年度に車用カーペット事業から撤退し、英国拠点では20年度に人員を削減する。ヨロズも19―20年度内に国内外で勤務体制を2直から1直にするほか、出張や残業を抑制するなどの緊急措置を打ち出す。河西工業は北米地域の工場を2―3年以内に最大2拠点閉鎖する検討に入った。日産などの減産で、収益改善に向けた合理化が不可避な状況だ。

ファルテックは米ジョージア工場で車用カーペットの生産を終える。顧客からすでに承認を得た。これにより同社は同事業から完全撤退する。原材料費の高騰や現地同業メーカーとの競争、米国市場の成長鈍化などが要因。人員は配置転換などを進める。年度内に関連費用などの影響額を計上する見通し。

同社の英国工場でも人員削減と勤務体制の変更に踏み切る。従業員300人程度のうち数十人を削減するほか、配置転換なども検討する。欧州の環境規制厳格化を受けコストが増大したほか、主要顧客が工場閉鎖や生産車種を変更。英国のEU(欧州連合)離脱(ブレグジット)の影響も加わった。

また、ヨロズは米アラバマ拠点で勤務体制を2直から1直とし、インドネシアや愛知県の拠点でも1直にする計画。年内に詳細をつめる。幹部によれば「08年の金融危機や99年の日産の再建計画『リバイバルプラン』の時と同規模の対策だ」と話す。河西工業も北米地域の5工場のうち最大2工場を閉鎖し、工場の集約を検討。設計拠点や倉庫なども縮小することで、コストを抑える。

日産が業績を下方修正

日産自動車は12日、2020年3月期連結業績予想で当期利益を前回予想比600億円減の1100億円(前年比65・5%減)に下方修正したと発表した。自動車の世界市場が減速しており販売台数が落ち込むほか、為替の円高も収益を圧迫する。一方、経営再建のカギである米国事業は底入れの兆しがみえてきた。

通期予想の売上高は同7000億円減の10兆6000億円(同8・4%減)、営業利益は同800億円減の1500億円(同52・9%減)に下方修正。世界販売は同30万台減の524万台(同5・0%減)に見直した。4―9月期決算は減収減益。全地域で販売が落ち込んだほか、営業損益段階で為替影響が275億円の悪化要因となった。

日産は22年度に営業利益(中国合弁比例連結ベース)を8700億円に回復させる目標を掲げ経営再建に取り組む。課題とする北米事業の19年7―9月期の営業利益は、インセンティブ(販売奨励金)抑制など費用管理を徹底した結果、359億円と前年同期と同水準だった。同日の会見で次期最高財務責任者(CFO)のスティーブン・マー常務執行役員は「成果がみえてきた。今後も着実に取り組みを進める」と話した。

日刊工業新聞2019年11月13日

次期社長への評価は?

日産自動車の次期社長兼最高経営責任者(CEO)が内田誠専務執行役員に決まり、新経営体制に対してサプライヤーからはひとまず安堵(あんど)の声が出ている。元会長カルロス・ゴーン被告の不正発覚後、西川広人前社長兼CEOも報酬問題で辞任するなど経営が混乱した。加えて、業績低迷やリストラの実行などサプライヤーには厳しい状況が続いている。山積する課題解決に向けて、新体制への期待が高まる。

「誰がやっても難しい局面だろう。“集団指導体制”で日産を前進させてほしい」。新体制にこうエールを送るのは、日産の中核部品を担うサプライヤー首脳だ。日産は内田次期CEOのほか、最高執行責任者(COO)には三菱自動車のアシュワニ・グプタCOO、副COOには日産の関潤専務執行役員を選定した。同首脳は「3人それぞれの強みを生かしつつ腰を据えて、法令順守(コンプライアンス)の徹底や事業改革に取り組んで欲しい」と話す。

内田氏は日産では出世畑とされる調達・購買を担当した。独立系サプライヤー幹部は「仏ルノーと三菱自を含む企業連合で購買を担当しており、部品メーカーと近い感覚の経験があるので外部企業から来るより(事業は)安定化するだろう」と期待を示す。別のサプライヤー幹部によれば、内田氏は「温和な印象だが、仕事に対し強い熱意を見せることがある」という。

内田氏を推した日産幹部は「自分の仕事を前向きに捉えて活路を見いだす人物だ」と太鼓判を押す。実際、日産の業績が低迷する中でも内田氏が現在担当する中国事業は攻勢を強めており、電動化関連部品の現地生産などを促している。グプタ氏や関氏も“協調型”とされており、内田氏を支える上で大きな役割を果たしそうだ。

一方で「(新体制で)強いリーダーシップを発揮するのは難しいのではないか」(中堅サプライヤー首脳)と疑問視する声もある。日産はルノーとの資本関係の見直しなど対処が難しい局面にある。

また、再建に向け2022年度までに世界の年産能力を現在比1割弱減の660万台に縮小する計画。「センシティブな案件は、現在暫定社長兼CEOを務める山内康裕COOなどが引き続き、手腕を発揮してほしい」(同)という意見がある。

社内の勢力図が変化したことで、経営方針の変更を警戒する動きもある。ある部品メーカーは日産トップの方針が明確になるまで投資計画や事業再編を凍結することを決めた。

経営陣を刷新したことで前向きな期待が高まっているのは事実。だが、日産は抱える課題が山積している。新体制は決まったものの、サプライヤーにとって予断を許さない状況が続く。
(取材・渡辺光太、山岸渉)

日刊工業新聞2019年10月16日

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