アイシン精機が披露した次世代駆動モジュール、電動化の切り札になるか

「イーアクスル」、力強い急加速にパワーと滑らかな走行を両立

 アイシン精機が「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」の技術開発を加速している。同社は売上高に占めるCASE関連比率を現状の11%から、2023年度に25%超、30年度には60%程度まで引き上げる計画を掲げる。特に力を入れるのが電動化。駆動モジュール「eAxle(イーアクスル)」などの成果が、徐々に姿を現してきた。

 ジェット機のような力強い急加速に、パワーと滑らかな走行の両立―。アイシン精機は豊頃試験場(北海道豊頃町)で報道陣向けに実施した試乗会で、イーアクスルの高い性能だけでなく、応用範囲の広さもアピールした。

 イーアクスルはモーターとギア、インバーターを組み合わせた駆動モジュールだ。試乗会では開発中の2タイプの製品を公開。モーターの最大出力が100キロワットの製品は、小型化による車両設計のしやすさが特徴だ。

 エンジンと組み合わせることで、パワフルな急加速も実現できるという。最大出力が150キロワットの2段階変速タイプは、加速時は時速90キロメートルあたり、減速時は同50キロメートルあたりで、それぞれ高速ギアと低速ギアに滑らかに移行する。6トントラックまで対応できる高駆動力と車速を両立した。

 イーアクスルの開発と販売はデンソーとの新会社「ブルーイーネクサス」が手がける。アイシン精機の江口勝彦執行役員は「両社の長所を合わせて、製品を拡充する」と意気込む。

 自動変速機(AT)とモーターを組み合わせたハイブリッド変速機なども含め、全方位で電動化対応する方針だ。同時に、ブレーキやサスペンション、ステアリングを統合制御する技術も、自動運転に必須な要素として重視し開発を進めている。

 アイシン精機は子会社でATを手がけるアイシン・エィ・ダブリュと、手動変速機(MT)を手がけるアイシン・エーアイを経営統合するなど、グループ間の融合を進めている。

 例えば試乗会で披露した、発進用ギアを組み合わせた無段変速機(CVT)は、従来比で燃費を6%、加速を12%向上した。担当者は「ATとMT、CVTの全てをカバーしているからこそ実現できた」と胸を張る。グループの知見を結集した成果の一つだ。

 独ボッシュが電子部品から駆動部品までトータル技術を強みとして打ち出すように、幅広い技術の融合が必要となる電動化や自動運転の世界では、プラットフォームとしてシステムを供給することが競争力に直結する。

 アイシングループも幅広い製品群を抱える。ただ、ある社員は「縦割り文化が残っていて、まだまだ協力できていない部分がある」と打ち明ける。もう一段の融合に踏み込みグループの資源を最大限生かすことが、一層重要になりそうだ。
(取材=名古屋・政年佐貴恵)

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日刊工業新聞2019年9月24日

  

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