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レンタル品コンビニで返却、新たな人手確保せずに実現した物流網の生かし方

三菱商事「SMARI」を開始
レンタル品コンビニで返却、新たな人手確保せずに実現した物流網の生かし方

レンタル・EC商品の返却・返品サービスとして普及を狙う

 インターネットの普及により、電子商取引(EC)市場は拡大傾向にある。足元ではレンタル品やシェアリングなど、付加価値のあるサービスを提供するEC事業者もおり、これに伴って返却や返品ニーズが増えている。

 三菱商事は今春、レンタル商品やEC商品の返却・返品を受け付けるサービス「SMARI(スマリ)」のサービスを都内の一部ローソン店舗で始めた。

 ローソンでは、1日当たり専用の配送センターから各店舗に納品する回数が5―6回ほどある。スマリはその物流網に着目したもので、各店舗に商品を納品した後のトラックが配送センターに戻る便を活用する。

 ドライバーは、主に夜間を中心に各店舗の専用ボックスに入れられたレンタルやECの返却・返品商品を回収する。既存物流網を活用するため、新たな人手を確保せずに済む。

 専用ボックスの利用のみで返品作業が完了するため、店舗にとっては返品に伴うレジ作業の負担は生じず、利用者はレジ待ちや宅配便の伝票へ記入する手間が省ける。EC事業者にとっても返品方法が多様化することで、顧客満足の向上につながる。

 草場拓也リテイル本部デジタルリテイル開発室オープン物流プロジェクトマネージャーは、「個別最適ではなく、社会最適で考えたい」とサービスの狙いを話す。

 現在、スマリは東京都内を中心に、約100店舗に専用ボックスを設置している。9月中をめどに設置店舗数を約200増やし、合計300店舗に拡大する予定。利便性の良さを生かし、着実なサービスの普及を狙う。(浅海宏規)
日刊工業新聞2019年7月12日

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