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LINEで加盟店オーナーと直接つながるファミマ社長「今、本部が一番ぼけている」

ファミリーマート・沢田貴司社長インタビュー、何を変えますか?
LINEで加盟店オーナーと直接つながるファミマ社長「今、本部が一番ぼけている」

時短営業実験「想像以上に悪い数字が出ている」と沢田社長

 ―24時間営業問題を発端にコンビニ業界に逆風が吹いています。
 「24時間問題だけでなく、コンビニが今日置かれている状況を正しく把握する必要がある。百貨店などが隆盛後に破綻や統合と変遷してきた。6万店を目前にコンビニも同じ道をたどっている。他の業種の小売業は直営店だったから整理統合できた。コンビニの整理は加盟店に傷がつく。一方で、日本の小売業は大転換期を迎えており、本当に変われと言われていると思う」

 ―まず何から着手しますか。
 「大事なのは、加盟店が収益を上げられるようにすること。個店によって抱える課題は異なる。それぞれの個店に向き合い課題を着実に解決する」

 ―加盟店を指導するスーパーバイザー(SV)や本部社員にも変革を求めています。
 「私自身が加盟店オーナーやスタッフたち200人以上とLINE(ライン)でつながっている。SVを経由せず、直接、苦情や要望を伝えてくる方も多い。この直訴を、組織を無視した越権行為と言ってしまうのは、あるべき論。あるべきことが機能していないから、加盟店から悲鳴が届くわけで、その声を聞いて解決することこそが全て。社内経由、直訴と両方あって良い」

 「契約などルールを重視しすぎるとルールに頼り、考えなくなる。社員には『そのルールは正しいのか疑え。安住することなく、ぶっ壊せ』と言っている。私が加盟店でオーナーの話を聞いている周りに傍聴席を作り、そこにSVら責任者を置く会を、毎月実施する。オーナーから問題提起されたのに責任者が動けていない場合は、注意もするし、その場で対応させている。今、本部が一番ばかになり、ぼけている。現場は待ったなしだ。私自身も安住せず、常に意識して動いている」

 ―6月に始めた時短営業実験の状況は。
 「想像以上に悪い数字が出ている。夜間営業をやめると顧客は離れ、競合店に取られる結果が露骨に出ている。納品時間の変更は逆にスタッフが集まらず、コストがアップした店もある。十分に検証して仕組みを作っていく」

 ―完全無人店舗を目指しますか。
 「トライしたい。横浜市のパナソニックとの実験店もそうだし、ほかのメーカーともロボットを使った販売などで共同研究している」

【記者の目】
 社長のラインに届いた加盟店オーナーからの切実な要望を見た。オーナーの意をくみ取って、即、指示が飛ぶ。指示にのっとって動く社員に緊張が走る。もう良い方向に変わるしかないという、真剣さの表れだろう。本部の変革で、多くの加盟店が納得してコンビニ運営できるようになれば、ファミリーマートの価値は一段上がる。
(文・丸山美和)
日刊工業新聞2019年7月3日

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