磁力で硬さが変わる「ゲル」の使い道

IHIが開発

 IHI技術開発本部の渡辺将旭副主任研究員は、磁力でゲルの硬さを切り替える磁気粘弾性ゲルを開発した。ロボット用の万能グリッパーの材料として性能を確かめた。ゲルが把持対象の形に合わせて変形し、磁力をかけると密着して固まり、さまざまな対象をつかめるようになる。物流現場のピッキング向けに開発を進める。

 ウレタン樹脂に直径10マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の鉄粉を重量比で75%混ぜて磁気粘弾性ゲルを作製した。普段は柔らかいゲルとして振る舞い、磁力をかけると鉄粉の粒子同士が密着し整列して、ゲルが硬く締まる。ゲルの硬軟を切り替えて把持対象に密着させて持ち上げる。

 厚み5ミリメートルのゲルで約37キロパスカル、厚み10ミリメートルでは約30キロパスカルの力で持ち上げられる。最大把持重量は対象との密着面積によるが、直径30ミリメートルのゲルで500ミリリットルのペットボトルが持ち上がった。

 現在は材料を試作して把持性能を確かめた段階。今後耐久性などを高める。磁気粘性流体を使う方式は、液体を包む袋が破けるとラインを広く汚してしまう課題があった。

 磁力式は硬軟の切り替えが速く、真空吸引とも組み合わせやすい。芳香剤の外装など穴が開いていて吸盤では真空をつくれない対象の把持に向く。ゲルを把持対象のどこかに押し当てれば密着させられるため、ロボットアームに位置精度が求められない。ばら積みや製品が倒れ、さまざまな方向を向いてしまうラインに提案していく。

日刊工業新聞2019年7月10日

  

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