チャットボット相次ぐ参入、勝負のカギは想定問答変更のUI

数十社のベンチャーが提供

 人の代わりに自動で受け答えをするチャットボット(自動応答ソフト)は業務効率化や人手不足対策の一つとして期待されている。そのため数十社のベンチャーが参入し、しのぎを削る。システムの裏側では大量の想定問答集を作成し、更新し続けるという、人の手でこなす作業がある。問答を変更しやすいユーザーインターフェース(UI)の開発が勝負のカギを握る。

ユーザーが更新


 チャットボットは人工知能(AI)ブームを支えた柱の一つだ。問い合わせは電話よりもテキストチャットやメールを好む世代が増えているため、人の代わりにチャットボットが質問に答える場面が広がっている。

 課題はチャットボット用の想定問答集の作成管理だ。チャットボットが応えられるのはマニュアル対応できる範囲に限られる。機械学習などで曖昧な問いに対して答えをマッチングする精度は向上したが、問いと答え自体は人が作る必要がある。メディアリンク(東京都港区)クラウドサービス開発部の清水雅司部長は「お客さま相手には間違えられない。問答のシナリオを作る方が確実」と説明する。問答の内容はサービスや社内制度が変われば更新が必要だ。そのためチャットボットのユーザーが問答内容を更新しやすいUIを開発した。問いと答えをツリー状につないで管理する。「チャットボットはウェブ接客の顔になる。ユーザー自身が修正や改良できることが重要」という。

人海戦術防ぐ


 コンシェルジュ(東京都千代田区)も問答をツリー状につなぐUIを提案する。同社の池頭宏和氏は「大量の問答データで問いと答えをマッチングする方式は精度が上がらない」と説明する。データがたまるまでは最適ではない受け答えが続き、データがたまった後は更新の可能性がある。ユーザーがその都度問答を作る方が運用はしやすい。チャットボットの適用範囲を広げるには大量の想定問答が必要になる。人海戦術にならないようにUIで負担を軽減する。 

 東芝デジタルソリューションズ(川崎市幸区)は問答シナリオの作成支援システムを提供する。大量の問答集を作成しても、制作者しか管理できなくなることが多いためだ。そこでコールセンターやメールなどの人と人との問答を自然言語処理技術で分類整理する。新しい視点や知識を探しやすい。開発担当の園尾聡主任は「データ分析ツールの多くは専門家しか使えない。我々のは現場で誰でも使える」と話す。

 チャットボットはAIによる新しい接客の形として華々しく登場した。その裏側には人の手でこなす問答管理作業がある。人海戦術の効率化にビジネスチャンスが眠っている。

メディアリンクの問答管理画面。左から右に対話ツリーが流れる

(文=小寺貴之)

日刊工業新聞2019年5月21日

小寺 貴之

小寺 貴之
05月25日
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雑談などの多少ちぐはぐでも許される用途には深層学習のようなアプローチも使えるのですが、顧客対応など間違えられない用途はシナリオベースのチャットボットが現実策になっています。人間向けのマニュアルを用意できる分野はシナリオを書けるのですが、そもそもマニュアル化できるのは接客業務の一部です。そしてマニュアルからチャットボット用の問答を書き起こして運用管理していくことになります。この仕事が結構流れていて、ウェブ制作会社も手を上げています。AIベンチャーやソフト開発会社ではなかったりします。一度、問答を作ればスケールフリーでウェブ接客できる利点があるのですが、事業が変わってマニュアルが変わると問答も変わります。大量の問答シナリオも更新ことになり、シナリオ作成を外注していると問答シナリオのどこを変えるのか、管理が難しいです。マニュアルから想定問答を生成したり、変更点が影響する問答の洗い出す技術が必要になると思います。これがないと少ない問答で済む対応しか適用できず、結局、松竹梅の三択から選ばされている感じになってしまいます。

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