ATMにAIを搭載したら…セブン銀が導入へ

今秋にも

セブン銀行ATMの現金補充などを担うALSOKの警備員(セブン銀行提供)
 セブン銀行は今秋にも新たに「第4世代」の現金自動預払機(ATM)を導入する。全国に約2万5000台あるATMのさらなる安定稼働を目指し、人工知能(AI)の実装を検討しており、2015年にAIの研究に着手した。AIの搭載でATMはどう変わるのか。(文=高島里沙)

多くの管理工程


 ATMの現金管理の工程は各ATMの入出金予測から始まり、現金輸送車の巡回コース作成、現金を入れるカセットの手配、運行統制など多岐にわたる。セブン銀行ATMの入出金予測や現金の補充などの実務を担うのは警備会社の綜合警備保障(ALSOK)だ。
 
 ATMは「1万円がよく出る」「学生街で千円の出金が多い」「入金が多い」など立地によってクセがある。ATMの特徴を出金型、入金型、バランス型の三つに分類し、特徴を把握しながら、ATMが稼働停止しないよう資金予測を立てる。資金予測には運行支援システムを用い、全体の9割は過去の取引を元にいつ入出金が多いかなど規則性を見いだして予測する。

 一方で、残りの1割は、いつどれくらい現金が増減するかわからず、規則性が読めない。

 例えば「夏祭りがある」「現金しか使えない居酒屋が隣にある」といった場合だ。その1割を全国に45人いるALSOK担当者が分析・予測する。そのため担当者が変わると精度も変動してしまう課題を持つ。

ノウハウ減らす


 AIの導入は、人のノウハウに頼る部分を少なくする狙いがある。初代ATMから開発に携わるセブン銀行の松橋正明専務執行役員は「AIの導入で人を減らしたり、人間よりも精度を急激に上げたりするよりは、ある程度まで精度を上げて平均の底上げをするイメージだ」と話す。

 NECのAI技術「the WISE」の一つである異種混合学習を用い、入出金予測の精度向上だけでなく、定期点検の効率化も目指す。現在ATMは導入から1年半で定期点検しているが、約2万5000台の設置環境や使用条件はそれぞれ異なる。

 そこで、定期点検の常識を疑い、点検が必要なタイミングの見える化を目指す。松橋専務執行役員は「わざと保守せずに壊れる機械をつくり、故障の予兆データを取りながら検証している」と話す。現状、点検には2―3時間かかっており、ATMの稼働率に影響するという。

機械学習の勝者


 松橋専務執行役員は機械学習の最後の勝者は「最適なデータを再構成できた者だ」とした上で、「今あるデータで得られるものには限りがあり、機械学習に最適な仕組みやデータを作り続けることが大事だ」と強調する。

 今秋から導入予定の新型ATMには高性能カメラやスキャナーを搭載する。AI導入時期を見極めながら、より金融アクセスを身近にすることを目標に開発を続ける。ALSOKも、ATMサービスにとらわれない周辺サービスへの展開を検討している。

日刊工業新聞2019年6月5日

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