「日産 VS ルノー」緊張高まるも、事業は粛々と前進

3社連合、イスラエルに共同拠点新設

 主導権争いを巡って仏ルノーと日産自動車間の緊張が高まる中、両社の業務上の協力は前進している。10日には、スタートアップ企業との協業を目的とした共同拠点をイスラエルに設けたほか、三菱自動車も含む3社連合のベンチャーキャピタルファンドが出資する企業数は今も増えている。アライアンスの在り方で齟齬(そご)があっても、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の対応のために、業務上で連携せざるを得ないのが現実だ。

 ルノーと日産はイスラエル最大の商業都市テルアビブに、研究拠点「アライアンスイノベーションラボテルアビブ」を立ち上げたと発表した。2016年にルノーがイスラエルの別の場所に設けた拠点を、18年以降アライアンスで活用していた。今後現地のスタートアップ企業との独占的な提携を増やし、先駆的な要素技術を開発するために拠点を移転。米シリコンバレーや中国・上海と同格の研究拠点として新設した。

 上海の拠点は自動運転や電気自動車(EV)、コネクテッドカー(つながる車)の開発を担っている。シリコンバレーの拠点は最先端のIT技術やデザイン面で研究を進める。いずれの拠点でも将来的にはアライアンスの技術革新を促進させるのが狙いだ。

 三菱自を含めた3社連合のガスパール・ガスコン研究・開発担当次席アライアンス執行副社長は、イスラエル新拠点の開所式で記者団に対し、「共同開発拠点の開設は我々の協力の大変素晴らしい例だ。新技術の開発で非常に緊密に連携している」と話し、アライアンスの連携が進捗していることを強調したという。

 3社連合はベンチャーキャピタル「アライアンスベンチャーズ」を通じて投資も行っている。18年の設立以降、有望な技術を持つベンチャーなどに8件、自動車関連のファンドに2件の投資を行った。

 23年までの5年間で10億ドル(約1000億円)の投資を予定している。アライアンスとして技術の研究調査から企業へ出資するシームレスな体制を構築することでCASEや乗り物のサービス化「MaaS」など自動車業界の新潮流に対応する。

 ルノーと日産はこれまで生産や購買などで機能統合を進めていたが、最近は先端技術分野で協業を広げている。アライアンスやガバナンスの在り方を巡って両社の対立が表面化しているが、車業界の技術進展はスピードを増しており「協業の必要性は一段と強まっている」と日産幹部も指摘する。

 主導権争いに没頭せず、アライアンスを奏功させるためには実利を優先する姿勢が両社に求められている。
(文=渡辺光太)

日刊工業新聞2019年6月12日

  

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