ヤマハ発が挑むフィリピン2輪市場、カギは「若者」「女性」

限定色でピンクやオレンジ、SNSを駆使、ファンを着実に

 夕暮れ時のフィリピン・マニラ市中心部。大型バスや自家用車がひしめき合う中を、音叉(おんさ)のロゴがついた色鮮やかなヤマハ発動機の2輪車が縫うように駆け抜ける。ヤマハ発は同国で主に若者をターゲットとした2輪車販売戦略を推し進めている。「フィリピンは国民の平均年齢が約23歳と若く、2輪車保有率は東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも低い。伸びしろは大きい」とヤマハモーターフィリピン(YMPH)の大杉亨社長。ヤマハ発の2輪車戦略上、重要市場だ。

 若者向け戦略の核となるのが、徹底した顧客嗜好(しこう)の把握だ。例えばASEAN向け中核モデルの排気量125ccの「ミオ」シリーズ。フィリピンでは限定色としてピンクやオレンジなどの車体色を展開している。「派手な色で個性を出すことを好む国柄。他国の車体色をそのまま投入しても売れない」(YMPHの藤沢誠司取締役)からだ。

 工夫は販売店でも見られる。マニラ市内にある直営店「ワイゾーン」では、写真撮影用のフォトフレームを設置するなどして会員制交流サイト(SNS)世代の若者を意識。さらに熱感カメラを設置し、顧客の動線を把握することでより良い店づくりにつなげている。

 これらが奏功し、ヤマハ発のフィリピンでの2輪車購入者の平均年齢は、2015年の35・2歳から18年に34・8歳に低下。若者世代のファンを着実に増やしている。若い顧客からは「期待に応える製品を提供してくれる」との評価を得ているという。

 課題は女性需要の喚起だ。18年のフィリピンの2輪車保有者のうち、女性の割合は約16%。ヤマハ発は女性向けに2輪車の乗り方を指南する教室や、フィリピンで家族の意思決定者とされることが多い母親向けのイベントを開くなどしているが、まだ十分な成果はあがっていない。商品にしても「女性だけに焦点をしぼった製品はあまり売れない」(大杉社長)とあって「あくまでユニセックスな製品を展開する」(同)しかない状況だ。

 フィリピンで23年に年間販売100万台と、18年実績の2倍近くまで急拡大させる計画のヤマハ発。若者、そして女性市場をいかに開拓できるかがカギとなる。
(取材・竹中初音)

日刊工業新聞2019年5月27日(自動車)

  

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