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私的整理の曙ブレーキ、「(今期)米国はさらに減収に」

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私的整理の曙ブレーキ、「(今期)米国はさらに減収に」

高性能車用ブレーキ(同社公式ページより)

 曙ブレーキ工業は13日発表した2019年3月期連結決算で、当期損益が182億円の赤字(前期は7億円の黒字)となった。不振が続いている北米事業など減損損失を計151億円計上したほか、日本で受注の減少や原材料価格の高騰などで営業赤字となったことも響いた。経常損益は28億円の赤字(前期は57億円の黒字)、営業利益は同97・4%減の2億円、売上高は同8・0%減の2436億円だった。

 20年3月期の連結業績予想については、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)を1月に申請し、スポンサー企業や事業再生計画が固まっていないとして現時点での発表を見送った。曙ブレーキは米国での生産の混乱から米ゼネラル・モーターズの次期モデル用ブレーキ製品の受注を逃すなど収益が悪化していた。同日の会見で荻野好正副社長は「米国はさらに減収になっていく。(スポンサー候補は)複数社と話をしている状況」と述べた。

日刊工業新聞2019年5月14日



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 曙ブレーキ工業が事業再生ADR(裁判以外の紛争解決=用語参照)を利用した金融支援の申請に踏み切った。生産の混乱などで米国事業の不振が続き経営を圧迫していたためで、ADRや企業などからの支援を生かし早期に財政基盤を整える。新たなブレーキ製品の提案もテコに事業計画をまとめ、4月からの新たな中期経営計画の策定につなげる。(山岸渉)

 曙ブレーキは自動車用ブレーキ製品や構成部品などを手がける。19年3月期の売上高は前期比7・7%減の2444億円を見込む。1960年代に米国の自動車部品メーカーとブレーキなどに関する技術援助契約を締結したが、契約をまとめる中で通産省(現経済産業省)が仲介に入り、トヨタ自動車といすゞ自動車、日産自動車が出資し支援した。その流れも受け、現在の筆頭株主はトヨタだ。

 「日本から指導する技術者をかなり送りこんできたが、まだ足りていない」。信元久隆社長は米国事業の難しさをこう示していた。ADRを申請するまで財務体質が悪化した要因は、売上高の約半分(19年3月期見通し)を占める米国での不振が大きい。

 米国事業は08年のリーマン・ショック以降に経済が回復すると、急な増産要求から休日稼働が余儀なくされ、設備負荷が増大して故障に陥るなど採算が悪化していった。労務費の増加や人材の採用難なども重なり、生産の混乱が主要取引先である米ゼネラル・モーターズ(GM)の次期モデルでブレーキ製品の失注につながった。

 一方で、ADRを利用したことで曙ブレーキは「企業からさまざまな提案がありうる」と再建に前向きだ。ADRを活用した理由について「一般の取引に影響を及ぼさずに事業を継続しながら、収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を目指す」と説明する。

 メーンバンクのみずほ銀行などと協議も進める。米国事業の立て直し策も徐々に取り組んできた。品目計算などのグローバルデータベースを米国事業のコスト改善に生かす。ブレーキの新製品「新構造ブレーキキャリパー」を既存ブレーキに応用し、費用対効果の高いブレーキ製品を米国でも生産し提案力を強化する。

 曙ブレーキは複数回の債権者会議を経て、事業再生計画を策定する計画。財政基盤を固め、4月からの中期経営計画の策定に臨みたい考えだ。自動車業界の変革が激しくなる中で、時代に対応した経営が進められるのか。正念場を迎えている。
【用語】
事業再生ADR=裁判所が関与せず、第三者機関が債権者と企業との調整役になって経営再建を目指す手法。民事再生などの法的整理と異なり、対象債権は金融債権に限られるため、仕入れなど取引を継続しながら事業再生ができる。過去にはアイフルや田淵電機などが利用した。

日刊工業新聞2019年1月31日

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