売上高は1兆円の大台に…でも「規模は追わない」日立建機の真意

連載・企業研究/日立建機(1)

 日立建機が1970年の設立以来、最大の構造改革に乗り出す。約420億円を投じて、国内の開発・生産を22年度をめどに再編する。建設機械の販売が中心の収益構造も転換し、19年度に売上高の半分をレンタルや保守など販売後のサービスで賄うことを目指す。業績は好調で、米キャタピラーやコマツを追撃する。にもかかわらず社長の平野耕太郎は、技術革新や顧客の要求の変化に対して危機感に似た思いを募らせている。

今やらないと


 「過去のやり方がニーズに合っているのかどうかを常に考えてきた。忙しい今こそやらないと、我々は取り残されてしまう」―。平野は強い決意をにじませる。

 高水準の需要を取り込みながら、再編を並行して進めるのは簡単ではない。平野がこだわるのは開発の効率化だ。製品ごとの開発の垣根を取り払い、製品の大きさに応じて開発体制を整備する。そのため4カ所の工場に分かれている約500人の開発者を2カ所の工場に集約する。

 平野は「建機の中小型機、大型の鉱山機械というようにサイズで顧客が異なる。ニーズを開発に反映しやすくする」と説明する。異なる製品で部品を共通化するといった効果も見込む。

 建機販売を中心とした事業モデルを見直す動きが建機業界に広がる。日立建機も部品や保守サービスの強化に加えて、18年夏から北米や英国の建機レンタルに参入した。発売から廃車に至るまで顧客と接点を持ち続け、連続性のある収益構造を確立する。

売上高1兆円に


 19年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画では、建機の販売以外で売上高全体の5割を稼ぐことを打ち出している。18年4―12月期の部品の再生やレンタルなどの売上高は前年同期比5%増の約3000億円で、全体の4割を占めるまでになった。新型機の需要動向に左右されにくくする体質への転換は着実に進む。

 日立建機は19年3月期の売上高が前期比4%増の1兆円の大台に乗る見通しだ。平野は「1兆円は通過点だ。規模は追わず、(収益の)中身を充実させる」と収益性の向上に自信をのぞかせる。堅調な需要が見込まれる国内外の建機市場で稼ぐ力を磨く。

 中計で打ち出したROE(株主資本利益率)や調整後営業利益率などの経営目標はすでに上回った。中計の総仕上げにおける焦点は、設立から半世紀を前にした構造改革の実行力に移っている。(敬称略)

連載・企業研究/日立建機


【01】売上高は1兆円の大台に…でも「規模は追わない」日立建機の真意(2019年4月29日配信)
【02】建機生産の自動化、先進する工場の中身(2019年4月30日配信)
【03】収益拡大の要は巨大情報インフラだ(2019年5月1日配信)
【04】拡大する部品再生事業が大事なこれだけの理由(2019年5月2日配信)
【05】鉱山機械のパラダイムシフト、突破のカギは“日立力”(2019年5月3日配信)
【06】社長が考える自動化技術の可能性(2019年5月4日配信)

日刊工業新聞2019年4月17日

  

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