ニュースイッチ

日立建機、アフターセールスで「売上高の半分」は可能か

社長・平野耕太郎氏インタビュー
 日立建機の収益構造に変化が生じている。2019年度までの3カ年の中期経営計画で、売上高の半分を部品の提供やレンタルなど新車以外で稼ぐことを打ち出していたが、17年度には売上高の4割を占めるまでに成長してきた。建設機械の需要や為替変動に左右されにくい体制づくりの効果が表れつつある。平野耕太郎社長に今後の戦略を聞いた。

 ―建機市場の活況に伴って、利益率目標などの中計の目標はすでに達成できている状況です。

 「中計に調整後営業利益率9%以上を盛り込んでいるが、数値目標よりも、為替などが業績に悪影響を及ぼしても利益を出せる体制を目指している。(新車販売以外のアフターセールス全般の事業である)『バリューチェーン』が売上高全体の5割を占めるための取り組みを進める。足元の状況は良い」

 ―構造改革も課題です。

 「工場の改善や生産性の向上が必要だが、高水準の需要による今の忙しさを乗り切らないといけない。改革をいわば計画的に遅らせている」

 ―情報通信技術(ICT)を活用した工事支援も拡充しています。

 「もっとスピード感を持たなければいけないが、作業の安全性や効率性を高めることが大事だ。そのことを忘れて支援のメニューを増やしても仕方がない。またオイルの劣化状況をもとに不具合を検知するサービスは、日本よりも海外で反応がいい」

 ―傘下に収めた鉱山機械分野の企業との相乗効果は。

 「米H―Eパーツは保守サービスを提供しており、進出していない地域への参入に向けては、我々が設けている拠点を活用してもらう。一方、豪ブラッドケンは消耗部品を製造しており、我々が外注していた部品をブラッドケンが作ることも考えている」

 ―建機の生産性を高めるために自動化も重視しています。

 「自動車の生産ラインのような自動化までは難しい。作業者とロボットが融合したモノづくりを目指していて作業の安全や効率性を追求する。ミニショベルを手がけるグループ会社の工場で生産の自動化を始めている」
                 
日刊工業新聞2018年9月20日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
日立建機は売上高8500億円を前提に中計を策定したが、旺盛な建機需要に伴って、17年度に売上高が9591億円、調整後営業利益率は9・8%だった。ただ収益構造改革のテコ入れをさらに進め、部品販売やレンタルなどを強化することが業績を押し上げるカギとなる。中計達成の先には売上高1兆円の大台も見えてくる。(孝志勇輔)

編集部のおすすめ