農水省が提案した世界トップレベルのイノベーション、実現できる?

 農林水産省は農林水産分野における世界トップレベルのイノベーション(技術革新)創出に向けた戦略を初めてまとめた。5―10年後に実現を目指す姿として「食」「スマートフードチェーン」「育種」「バイオ素材/バイオマス」の4分野で国や民間などが協力してビッグデータ(大量データ)によるプラットフォームを形成、連携させる。これを活用し研究開発力を高めて、多様なサービスを生み出す。農水省は同戦略を政府の統合イノベーション戦略などに反映させる意向だ。

 日本の農林水産業は高齢化や人口減少、気候変動などの問題を抱える。今回策定した「農林水産研究イノベーション戦略」はこれらの課題を乗り越えるとともに国際競争力を高めるため、世界トップレベルのイノベーションの創出が必要と指摘。これまで先進的に取り組んできた4分野をターゲットとし、研究開発力を飛躍させる仕組みづくりを提案する。

 「食」ではヒトの全遺伝情報(ゲノム)や健康診断などの医療データと、味覚や作物・食事の成分など食データを結合したプラットフォームを構築。個人レベルの状況に応じた健康に良い食事を提供する。「スマートフードチェーン」では気象データや需要変動などを把握し、これに合わせロボットやセンサーを使ったスマート農業により必要量を生産。無駄のない流通システムを実現する。

 「育種」では育種ビッグデータの構築と人工知能(AI)育種シミュレーター開発によりプラットフォームを形成。育種期間を従来の5分の1、育種規模を同数十倍に高める。

 「バイオ素材」では新たなバイオ素材の開発により農山村地域の資源活用を拡大するほか、生物由来資源であるバイオマスの利用により温室効果ガスの削減を目指す。

 農水省は今回まとめた同戦略を毎年見直し、更新する。
                

日刊工業新聞2019年4月25日

  

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