バイオ医薬原料の生産工場で生かされる空調会社のノウハウ

新菱冷熱工業が養蚕技術

 養蚕技術の“再発明”―。新菱冷熱工業(東京都新宿区、加賀美猛社長、03・3357・2151)が、遺伝子組み換えの蚕を大量飼育するシステムの受注拡大を目指している。飼育装置1基で育つ蚕が約6万5000頭で、空調技術を生かしながら、それぞれの蚕の成育速度をそろえられる環境を提供する。国内の基幹産業だった養蚕をシステム化することで、バイオ医薬関連からの引き合い増につながっている。

成長を均一に


 茨城県つくば市。新菱冷熱工業の中央研究所に、蚕の大量飼育装置が設置されている。内部にはガンマ線で滅菌した紙製の飼育ケージが入っている。蚕が微生物などにより病気にかかりやすいためで、衛生面に徹底してこだわった。

 新菱冷熱工業が重視しているのが「一つ一つの蚕の成長のバラつきをなくす」(同社)ことだ。飼育装置内の温度を25度C、湿度を50%に保つように空調を制御するとともに、飼育ケージを載せる棚が定期的に回転する。また任意の棚が作業者の位置まで自動的に移動して省力化につなげている。

 このほかにも蚕が繭を作るための格子枠(ボール蔟〈ぞく〉)や繭のけばを除去する装置も製作し、養蚕を一貫して手がけられるシステムを確立した。「養蚕業者の減少に伴って、こうした用品が今では製造されていない」(同)状況で、かつての飼育管理技術を再現した。

高品質で提供


 新菱冷熱工業は免疫生物研究所(IBL)に大量飼育システムを納入している。遺伝子組み換えの蚕が作る繭から、品質の高いたんぱく質が得られ、医療用の原材料に使われることが期待されており、同システムが担う役割は大きい。

 また農業・食品産業技術総合研究機構と、農林水産省の「蚕業革命による新産業創出プロジェクト」を共同で受託した。2022年3月末まで実施する予定で、同システムをベースに情報通信技術(ICT)を活用し、さらに効率的で安定して蚕を飼育できる環境を構築する。

 持ち前の空調ノウハウを生かしながら、バイオ医薬原料の生産工場での受注に弾みを付ける。
(文=孝志勇輔)

日刊工業新聞2019年2月19日

  

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