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三菱電機出身の理事長が一手、農研機構がシンクタンク設置のワケ

農業やICTに関わる技術動向や政策動向を収集・分析
 農業・食品産業技術総合研究機構はシンクタンク部門を設置する。農業やICT(情報通信技術)に関わる技術動向や政策動向を収集し分析する。まず10―20人規模で立ち上げる。国内外の動向を調査して農業の成長市場や成功モデルを探す。農研機構は海外拠点の設置を検討しており、シンクタンク部門は地域選定も担う。

 国内外の技術と政策について調査分析して、農林水産省の科学技術政策などへ情報を提供する。経済産業省における新エネルギー・産業技術総合開発機構の技術戦略研究センター(TSC)や文部科学省における科学技術振興機構の研究開発戦略センター(CRDS)に当たるシンクタンク機能になる。

 農研機構は人工知能(AI)技術やICT技術と農業の融合を推進しており、農業と新技術の両方を把握できる体制を整える。そして農業における成長市場を探す。農業へのICT応用であれば米国、ビジネスモデルはオランダ、日本の農作物の輸出先としてアジアを調査する方針だ。

 農研機構は2018年に三菱電機出身の久間和生理事長を迎え、産業として農業の競争力強化を進めている。農産物や食品の開発に加えて、海外市場でのシェア獲得や、農業従事者の収益向上を目指す。そのためには技術開発だけでなく、農業におけるビジネスモデルの開発が必要になる。農業とICT技術の活用、海外の市場動向をシンクタンクに集め、成長モデルを提案していく。
日刊工業新聞2019年4月8日

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