巨大過ぎるとやばい!自動車メガサプライヤー、社内再編を急ぐ

事業部の最適解が成長スピードを左右

 メガサプライヤーが社内の事業再編を加速している。仏フォルシアは買収したクラリオンを中心に既存事業を組み合わせ、新事業部門を設立。独ボッシュはディーゼルエンジンや電気自動車(EV)システムなど扱うパワートレーン部門を統合した。資産効率の最大化や提案力の向上を進めるのが狙いだ。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の新潮流を迎える中、多くの事業を持つメガサプライヤーが総合力を生かせる体制を整えている。

 「フォルシアの理想を実現するためにはクラリオンの技術が必要だった」。4月に新事業部「フォルシアクラリオン エレクトロニクス」を設立したパトリック・コラーフォルシア最高経営責任者(CEO)はこう打ち明ける。

 フォルシアは次世代のコックピットシステムの開発を成長戦略と考え、M&A(合併・買収)を進めてきた。その一環で買収した仏パロット・オートモーティブや中国コエージェント・エレクトロニクスと、クラリオンの車載情報通信システムや音響技術との相性が良いとみて、クラリオンの買収を決断。即座に3社を統合した新事業部を設けシナジーを引き出しやすい体制を整えた。

 同社は2025年の連結売上高を17年比1・7倍の300億ユーロ(約3兆8000億円)とする目標を掲げる。その押し上げのほとんどを新事業部が担う計画だ。

 ボッシュも社内事業部を見直している。18年にパワートレーン関連を一手に引き受ける新事業部「パワートレインソリューションズ」を設立した。かつては、EV、ガソリン、ディーゼルのシステムを扱う事業部が分かれており、各事業部ごとに自社競合を起こすこともあったという。事業部を統合したことで、顧客の要望に合わせて総合的な提案を可能にし、社内営業の一本化も実現した。

 また、ボッシュはこれまで各事業部内に配置していた人工知能(AI)担当を集め、AIに特化した事業部を構築した。データ解析や計算処理など担当者の知見を結集する。

 例えば自動運転の「曲がる」というAIの判断のブラックボックス化を避け多角的に検証できるようにするのが狙いだ。21年までに3億ユーロを投資するほか、AIの技術者を現在比4倍の4000人に増やす予定。開発したAIの外販や社内製品への内蔵も視野に入れる。

 自動車部品業界はCASE対応をきっかけに業界再編が相次ぐ。カルソニックカンセイ(CK)は欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズの自動車部品部門を担う伊マニエッティ・マレリとの経営統合を決めた。

 CKを傘下にした米投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の日本法人KKRジャパン(東京都千代田区)の平野博文社長は「業界再編だけでなく、社内の事業再編を行い最適な姿になるべきだ」と話す。事業体制の最適化に向けた動きがしばらく活発化しそうだ。

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クラリオンを買収したフォルシア(同社公式ページより)

日刊工業新聞2019年4月17日

  

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