いよいよ始まる「5G」時代、携帯4社の戦略は?

ドコモ「社会や産業に貢献」、KDDI「ワクワクする体験を」、ソフトバンク「利便性高い料金プラン」、楽天「安く便利に」

 総務省は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルに第5世代通信(5G)の周波数を割り当てた。9月のラグビーワールドカップ(W杯)でプレサービスが始まり、2020年春に商用化される。5G展開で世界をリードするために、超高速、超低遅延、多数同時接続という三つの特徴を生かしたサービスをいつどこで開始するのか。今後各社は競い合って5Gの新たな波を起こしていく。

ドコモとKDDIは希望どおり2枠、ソフトバンクは1枠に


 5Gの周波数割り当てではNTTドコモとKDDIが3・7ギガヘルツと4・5ギガヘルツ帯で申請通り2枠を獲得した一方、2枠を希望したソフトバンクは1枠にとどまった。4社の5G特定基地局開設計画の審査結果で、ドコモとKDDIがソフトバンクと楽天モバイルの評価を大きく上回ったからだ。28ギガヘルツ帯については、4社とも希望通りに1枠づつ割り当てられた。

 3・7ギガヘルツと4・5ギガヘルツ帯の周波数割り当てでは4社ともに3600メガ―3700メガヘルツ帯、3700メガ―3800メガヘルツ帯を第1・第2希望にした。その理由は欧州の5Gと同じ周波数枠となり、5G機器の汎用品が調達しやすくなるという利点があったためとみられる。

 審査の結果、3600メガ―3700メガヘルツ帯を獲得したのはドコモで、KDDIは第2希望の3700メガ―3800メガヘルツ帯を獲得した。4社の開設計画を比較審査した合計点で、ドコモが18・3点でトップとなり、KDDIが17・3点で2位だったからだ。

 ソフトバンクは3・7ギガヘルツと4・5ギガヘルツ帯で2枠を希望したが、割り当ては第4希望の3900メガ―4000メガヘルツ帯の1枠だけ。1枠を希望していた楽天モバイルは3800メガ―3900メガヘルツ帯を割り当てられたが、この枠はソフトバンク、楽天モバイルともに第3希望だった。比較審査のソフトバンクの合計点が4・7点と、楽天モバイルの8・7点を下回ったからだ。

 審査項目で総務省が重要視したのは24年度末までの「全国の5G基盤展開率」「特定基地局の開設数」「MVNO(仮想移動体通信事業者)への接続契約数」だ。5Gの基盤となる高度特定基地局のカバー率はドコモが97・0%、KDDIが93・2%だったが、ソフトバンクは64・0%、楽天モバイルは56・1%にとどまった。

一般的に周波数が多くある方が大容量の通信が可能になる。超低遅延、同時多数接続といった性能には影響がないとみられるが、今回1枠にとどまったソフトバンクがどう巻き返すか注視する必要がある。
基地局の開設計画の概要


同じ枠数欲しかったソフトバンク


 「本音では(ドコモやKDDIと)同じ枠数を欲しかったが、さほど背伸びする必要はない」―。ソフトバンクの宮川潤一副社長は3・7ギガヘルツ帯と4・5ギガヘルツ帯で1枠しか割り当てられなかったことについて言及した。

 5Gの基盤となる高度特定基地局のカバー率が、ドコモやKDDIの90%超と比べて差がついたことには「10キロメートル四方に高度特定基地局を1局だけ作るのではなく、既存の周波数との組み合わせで21年度末までに90%以上の人口カバー率を実現させたい」と話す。既存の小型基地局(スモールセル)のソフトウエアのアップデートなどで5Gに対応可能にすることで、コストを抑えながら5G対応地域の拡大を迅速化するとみられる。

 ソフトバンクは5Gの料金について「4Gで提供中の料金水準を一つの基準としてユーザー利便性の高い料金プランを提供する」としている。宮川副社長は「5Gは使い放題にしないと本当の良さが出ない。従来のパケット単位ではなく時間単位などにすべきだ」と語った。

 10月に携帯電話事業に参入する楽天の三木谷浩史会長兼社長も「重要な使命は、より安く、より便利に使ってもらうことだ」と話す。政府から通信料金の引き下げを迫られる中で、競合3社よりも競争力ある価格帯で展開し、勝負をかけるとみられる。

カバー率最下位の楽天「利用状況見ながら向上」(三木谷氏)


 楽天モバイルは高度特定基地局のカバー率が4社の中で最下位にとどまった。後発ゆえの弱点ともいえるが、三木谷会長兼社長は「利用状況を見ながら、向上するよう頑張りたい」と前を向く。
NTTドコモはイベントで別会場のフットサルの試合を5Gでワイドスクリーンに投影

 ドコモの吉沢和弘社長は「5Gで社会や産業の発展に貢献できるよう取り組みたい」とコメントしたほか、KDDIの高橋誠社長は「ライフデザイン事業との融合によりワクワクする体験価値を届けたい。地方創生への5G活用にも積極的に取り組んでいく」と意気込みを示した。

日刊工業新聞2019年4月11日(トピックス)

  

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