5Gは地方こそ生きる!携帯各社が普及へあの手この手

自治体などと連携して実証実験を加速

 2020年の第5世代通信(5G)商用化まで、もうすぐ1年を切る。「低遅延」「高速大容量通信」などを特徴とする5Gは、人手不足をはじめとした地方の課題を取り除く一つの解として注目される。このため携帯各社は、自治体や企業と連携して地方での実証実験を加速するほか、5Gの検証拠点を複数地方に開設する。さらに山間部などに持ち運べる5G設備を開発するなど、地方への普及を急いでいる。

 「5Gの技術者が地方に出向き、課題をていねいにヒアリングしている」。KDDIモバイル技術本部の松永彰シニアディレクターは、こう自信を見せる。その成果物の一つが19年1月に長野県白馬村で実施する5Gを活用した除雪車の運行支援だ。

 国から特別豪雪地帯として指定される白馬村の冬は、除雪車の出動が不可欠だ。しかし道路上に積もった雪で隠れた縁石にぶつかって除雪車が転倒することが多い。またマンホールや消火栓も雪に隠れてしまい、道路保全に支障をきたすことがあった。そこでKDDIは白馬村などと連携し、除雪車の運転席に設置したタブレット端末に、障害物や道路設備の情報をリアルタイムに伝送する実証実験に乗り出す。

 雪が降らない時期に撮影した路面映像を、除雪車の位置情報に応じて端末に配信する。運転手は視界が悪い雪道でも、端末に映る平常時の道を見ながら運転できる。除雪車が障害物などの近くを走行するとアラート通知し、運転手に注意を促す。事故を未然に防ぎ、除雪作業の効率化につなげる。このほか北九州市ではデンソーなどと協業し、産業用ロボットの配置や作業内容を最適化する実証も1月に始める予定だ。

 一方NTTドコモは、企業と5Gを活用したビジネスを創出するための拠点「ドコモ5Gオープンラボ」を各地方に開設している。同ラボは5Gの基地局設備などを常設し、5Gの検証施設としても機能する。9月に大阪市内へ開設したほか、19年1月には沖縄県内にも設ける予定だ。

 これまで携帯各社のネットワーク整備は都心から進むことが多く、5Gも都心からの普及が見込まれる。しかし政府は、周波数割り当てから2年以内で全国でのサービス開始を求めている。このため山間部など整備が困難な場所でも素早くエリア化することが必要になる。

 ソフトバンクは持ち運べる5Gの検証セット「おでかけ5G」を公開した。基地局などの5G設備一式を車に載せて現地へ持ち運び、周辺をエリア化できる。先端事業企画部の船吉秀人部長は「(5G活用の)ニーズがある場所に配置できる」と自信をのぞかせる。

 5Gはしばしば高速道路に例えられる。石田真敏総務相は「かつて高速道路ができると周辺地域は経済が活性化した。5Gを整備しなければ、地域の経済発展が遅れてしまう」と危惧する。国も企業も自治体も、すぐそこに迫った5G時代に向けラストスパートをかける時が来ている。
(文=大城蕗子)

日刊工業新聞2018年12月17日

  

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