auユーザー以外も狙う、KDDI「キャリアフリー戦略」の勝算

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「スマートマネー構想」をアピールするKDDIの高橋社長
 KDDIは、今夏をめどに、金融や決済、ポイントといった自社サービスを、auユーザー以外にも開放する「キャリアフリー」に乗り出す。auが提供するサービスの利用者の間口を広げ、通信外の多様なサービスを提供する“au経済圏”を拡大する狙いがある。一方、キャリアフリーにすることは、楽天やLINEといった大手IT企業との顧客獲得競争に直面する。

スマホ入り口


 KDDIは2月、スマートフォンを入り口に、保険や貯金、送金、ローンなどさまざまな金融商品を提供する「スマートマネー構想」を発表した。これまでバラバラで展開してきた金融サービスを、スマホアプリケーション(応用ソフト)「au WALLET」で、ワンストップで提供。使い勝手をよくして、利用者を拡大する狙いだ。こうしたスマートマネー構想を推し進めるため、au WALLETやポイントといったサービスをau顧客以外にも開放するキャリアフリー化を決めた。

 KDDIはこれまで、au回線契約者を対象に、決済やポイントサービスを提供してきた。auを使うことの付加価値を提供して、長期に契約してもらうためだ。au顧客を中心に提供する各種サービスの規模感を示した「au経済圏」は、2019年3月末で15年3月比約6倍となる2兆5000億円に達する見通しという。

 ただ、KDDIが次の事業の柱に育てたいのは金融事業。中でも4月に始める2次元コード「QRコード」を使った独自の決済サービス「auペイ」に注力している。

キャリアフリー


 自社の回線契約者に限定して閉じたサービスを提供していれば、「(決済などの)加盟店からは『auユーザーだけなの?』という話が当然出てくる」(高橋誠社長)。多くの人に使ってもらい金融サービスを軌道に乗せるには、キャリアフリー化は避けて通れなかった。

 一方、NTTドコモは13年、ドコモの各種サービスを利用する際に必要なドコモID(現在のdアカウント)を、回線契約の有無にかかわらず使えるキャリアフリーへの切り替えに着手。ドコモ以外のユーザーにもdアカウントを発行してもらい、ポイントや決済などのサービスを使えるようにした。現在dポイントの会員数は6900万人を超え、後塵(こうじん)を拝している。

競争力発揮


 KDDIがこれまでau顧客に閉じたサービスを中心に提供してきたことは一種の囲い込みとして機能していた面もある。このためキャリアフリーを本格化することは、巨大な顧客基盤を抱える楽天やLINEといった大手ITもライバルとなる。そこでいかに自社の競争力を発揮できるかどうかが今後の成長のカギをにぎる。
(文=大城蕗子)

日刊工業新聞2019年4月5日

COMMENT

葭本隆太
デジタルメディア局
ニュースイッチ編集長

KDDIはauだけでなく、傘下の格安スマホの利用者を含めた「モバイルID」を増やして、そこに多様な自社サービスを提供して一人当たりの売上高を上げる戦略を進めていました。約800億円を投じたビッグローブの買収(16年12月)もその戦略の一環で、同社が持つ240万件以上の顧客基盤を獲得するためでした。そう考えると、今回のキャリアフリー化はかなり大きな戦略転換のように感じます。

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