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業績下降の日産、発言力低下の恐れ

明日、ルノー新会長来日
業績下降の日産、発言力低下の恐れ

「何をすべきかなと話していきたい」」と西川社長

 2019年3月期連結決算業績見通しを下方修正した日産自動車。米中市場で販売減を見込み、売上高は当初予想比4000億円減の11兆6000億円(前期比2・9%減)、当期利益は同900億円減の4100億円(同45・1%減)とした。また前会長カルロス・ゴーン被告の役員報酬で未計上分の約92億円分を18年4―12月期連結決算で費用計上したことも利益を押し下げる。ゴーン被告の退場を契機に日産は、三菱自動車を含む3社連合の関係見直しを進めたい考えだが、日産の業績低迷が続けばルノーに対する発言力低下につながる懸念がある。

 19年3月期の販売台数見通しは同32万5000台減の560万台(同2・9%減)、そのうち中国は同13万1000台減の156万4000台、米国は9万5000台減の145万5000台に下方修正した。

 特に米市場をめぐって日産はインセンティブ(販売奨励金)やフリート(大口顧客)に依存した販売戦略をとった結果、ブランド力が毀損(きそん)し収益力が低下した。12日の会見で西川広人日産社長兼最高経営責任者(CEO)は「一貫性を持って販売の質改善を継続する。無理なストレッチはしない」と業績の下方修正の背景を説明。未計上だったゴーン氏の報酬については「実際に支払うとは思っていない」と話す。

 14日には仏ルノーのジャンドミニク・スナール新会長が就任以来初めて訪日、日産の西川社長らと会談する予定。西川社長は「(スナール氏と)まずは信頼関係を醸成したい」と対話に意欲をみせる。

 両社の前会長カルロス・ゴーン被告の不正問題を契機に三菱自動車を含む3社連合の信頼関係が揺らいでいる。西川社長は「連合の不活性化はあり得ず、その姿勢は(ルノー筆頭株主の)仏政府にも理解してもらっている」と指摘。その上で「持続性を持つために何をすべきかなどスナール氏と話していきたい」と語るが…。
日刊工業新聞2019年2月13日の記事を再編集

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