日産→ルノー「24.9%」、ルノー→日産「3割超」。出資比率の妥協点

ゴーン問題の着地点を聞く(2)SBI証券企業調査部長・遠藤功治氏

 日産自動車、三菱自動車、仏ルノーのトップに君臨してきたカルロス・ゴーン容疑者が逮捕され拘留のまま年を越そうとしている。足元では3社連合の支配関係をめぐり日産と仏ルノーの間で綱引きが続く。日産は、「ゴーン支持」の色を見せていたルノーが譲歩し、日産主導で事態が動きだす展開を期待する。ルノーはこれからどう動くのか。着地点の見通しについて3人の識者に聞く。第二回はSBI証券企業調査部長の遠藤功治氏。

 ―日産、ルノーの関係悪化で連合が瓦解する懸念はないですか。
 「その可能性は低い。日産単独の世界販売は600万台弱だが、三菱自を含む3社連合では1000万台強。日産にとっても購買力のメリットは大きい。ルノーは日産に利益の40%を依存しているほか、電動化など先端技術でも頼る。両社にとり連合維持は共通認識だ。ただ実力値では日産が上。連合維持への思いはルノーの方が強いだろう」

 ―両社の関係見直しのポイントは。
 「ルノーとしては支配的構図の維持が基本で、イコール関係も受け入れがたい。一方、できるだけイコール関係に近づけたいというのが日産だ」

 ―妥協点は。
 「日産からルノーの出資比率を24・9%まで引き上げる一方、ルノーから日産への出資は3割超まで引き下げる。日産としては議決権発生という果実を得るほか、(ルノーの議決権が消滅する)25%までギリギリなのでけん制になる。ルノーの譲歩となるが、日産の重要事項に対する拒否権は残せるレベルの支配力を維持できる」

 ―実現へのハードルは。
 「ルノー株主の仏政府が認めるかどうか。マクロン政権は低支持率に苦しんでおり、産業政策の要である自動車産業で『日産に譲歩した』というマイナス評価は避けたいだろう。厳しい交渉になる」

 ―ゴーン容疑者逮捕や、ルノーとの不協和音が、日産の事業や業績の足を引っ張る可能性はありますか。
 「ゴーン問題に対する関心の高い日本、欧州でブランドが毀損(きそん)し販売に影響が出る可能性はある。特に日本では完成車検査で4度目の不正が見つかったマイナスも大きい。連合の共同購買など提携事業は、すでに決められた計画に沿って実施されているはずで、直ちに影響はないだろう。ただ問題が尾を引くと中長期の影響が出てくるかもしれない。ゴーン氏の鶴の一声がなくなり、意見がまとまらない懸念がある」

【第1回】「日産とルノーが相互に20%出資」がありえる根拠

 ルノーから日産への出資は43・4%なのに対し、日産からルノーへの出資は15%で議決権もない。ただ両社は「対等の精神」でシナジーを創出してきた。ゴーン容疑者はその守護神で、2015年にルノーの筆頭株主である仏政府が日産への関与を強めようとした時も盾になった。
 しかし18年に「対等の精神」の維持が脅かされる事態になった。仏政府がゴーン容疑者に対し、ルノーの最高経営責任者(CEO)の続投と引き換えに日産・ルノー連合を不可逆な関係にする条件を出した。それをゴーン容疑者が飲み、経営統合に向け動きだした。日産は、そうした動きに反発し、検察のゴーン容疑者逮捕に全面協力したとの見方が専門家の間で支配的だ。

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。