日産・ルノー、資本関係見直し4つのシナリオ

ゴーン容疑者は無罪主張も、焦点は次の段階に

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者の特別背任事件をめぐり、東京地裁は8日に勾留理由を開示した。ゴーン容疑者本人が出廷し、無罪を訴えた。大きなサプライズはなく、今後は法定の場で争うことになる。焦点は、日産と仏ルノーの資本関係の見直し議論に移る。考え得る四つのシナリオを検証する。

 第1のシナリオはルノーが持つ日産株43・4%のうち日産が3・5%を買い取る手法。フランスの会社法によると保有比率が40%を下回ると、日産が持つルノー株15%に議決権が生じる。日産はルノーに対して一定の影響力を持ち、15%のルノー株を持つ仏政府と対等な立場になる。仏政府をけん制し、日産の自主性を担保できる。

 第2は日産が増資し、ルノーの保有比率を希薄化する手法。比率が40%を下回れば、やはり日産はルノーに対して15%の議決権を持てる。ただ3000億―4000億円の増資が必要で、株価の下落は不可避。日産はキャッシュが潤沢なだけに増資の理由が見当たらず「他の株主の反発を招く恐れがある」(銀行系エコノミスト)。

 第3は日産がルノー株を買い増し、保有比率を25%に引き上げる手法だ。日本の会社法では25%以上になるとルノーが持つ議決権が消滅する。ただ日産が買い増す条件として、ルノーの不当介入が確認された場合に限るという約束がある。この条件を棚上げしてもらうには、ルノーと仏政府が譲歩に応じるような何らかの材料を示す必要がありそうだ。

 一方、ルノーが支配力を強めるシナリオもあり得る。ルノーが日産にTOB(株式公開買い付け)を仕掛ける案だ。わずか6・7%買い増すだけで保有比率は50%を超える。ただルノーが日産株を買い増すには日産の合意が必要との改定アライアンス基本合意書(RAMA)が存在する。

 日産自動車の西川広人社長は7日、仏自動車大手ルノーとの提携関係について「将来的に安定して仕事ができるのはどういう環境なのか、具体的に議論しなければいけない」と語った。「(ルノーとの関係は)パワーゲームではない」と指摘。「それぞれが発展するためにどれだけ協力できるかだ」と協調的な議論を進める姿勢を示した。
                   

日刊工業新聞2019年1月8日の記事の一部を加筆・修正

  

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